研究課題/領域番号 |
22K00798
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 開智国際大学 |
研究代表者 |
田近 裕子 開智国際大学, 教育学部, 教授 (80188268)
|
研究分担者 |
安田 比呂志 開智国際大学, 教育学部, 教授 (00424086)
豊嶋 朗子 都留文科大学, その他部局等, 准教授 (20527717)
蘇 韋綸 開智国際大学, 国際教養学部, 助教 (20883359)
奥脇 奈津美 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (60363884)
野田 小枝子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (60408474)
星野 徳子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (70609841)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 英文の多読 / 語彙力 / 音声入力 / 読解 / 教授法 / 適正時期 / Reading While Listening / extensive reading / vocabulary / reading comprehension / inferencing |
研究開始時の研究の概要 |
近年、読解力と語彙習得のためには学習者が自身の語彙レベルの読み物を多量に読むことが望ましいとされている。しかしながら、多読に取り組めない学習者も多い。そこで、音声を伴う多読(Reading While Listening:E-RWL)の導入により、読解力と語彙力を増進し、さらに、テクスト読解のスピードや聞き取り力の改善を図ることができると考える。学習の困難の一つが音声入力と文字認識の不一致と考えられる。RWL(E-RWL)により、学習者の英語力が飛躍的に伸びる可能性がある。ただし、RWL(E-RWL)については、未知の部分も多く、今後充分な研究が必要である。
|
研究実績の概要 |
RWL(Reading While Listening)が読解力および語彙習得を促進する可能性を検証するために、音声を伴う読解テクストを吟味し、今後のデータ収集に活用する工夫を行った。昨今の社会全体のデジタル化の影響で、英語音声入手の可能なテクストはオンライン(MP3等)でもオフライン(CD等)でも増えている。その中でも、多読教材として適したものとして、World History Readers, Young Adult Eli gradedreadersなど公開されている。従来の Pearson, Macmillan, Oxford, Cambridge 出版からの物語文を主とした教材に加えて、新しい取り組としての、音声と文字を同時に入力する英語教育法の可能性を示している。本研究では、読み手としての大学生の興味にマッチした教材を整備してきた。日本の英語教育における多読の重要性については、過去40~50年の間に物語文のテクスト読解を中心に理解が広まってきたが、今後は、音声を伴う効果を加えて、ジャンルの幅を広げる可能性があると考えられる。 本研究における、音声インプットと文字認識の関係性については、認知や言語処理の観点から理論的背景を明らかにしたいところであるが、この点はかなりの難問と言える。ただし、Webb & Chang (2012, 2015) および関係研究の成果をまとめた Tajika (2022) に依拠すれば、ある言語レベルでは両インプットは語彙習得と読解力の涵養に効果をもたらすと考えられる。今後さらに、両インプットの関係について理論的研究を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RWL(Reading While Listening)による効果を測るための教材および音声と文字の両インプットの効果報告やその理論的研究については、ある程度方向性は見えてきているが、まだ、実証研究をするところまでは進んでいない。昨年度の多読教材検討の過程で一つ明らかになったこととして、読み手である学習者の読解テクストに対する嗜好も検討の必要があると思えるようになった。したがって、この点でのデータも新たに加えていく必要を感じている。したがって、RWLの効果を、語彙力および読解力の観点から検証する前の段階として、現在は、大学生にとって関心を持って取り組める教材をまず明確にしていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、RWLのための多読教材を学習者である大学生の興味や動機に焦点を当てて探索し、揃えていく必要がある。そのうえで、RWLの効果を、学習者の語彙レベル(広さと深さ)、教材への興味の度合い、英文読解力ほかを観点として測定していく予定である。効果検証のための測定の期間、学習者の語彙レベルや学習動機などの学習者要因の各種、読解テクストの種類(narrative / exposition)、検証のための期間やテクスト読解の量と質など、検証のための条件を今年度のうちに整備する予定である。そのうえで、今年度末以前のできるだけ早い段階で、データ収集が行えるようにする予定である。 なお、も一つ大切な観点として、いわゆるGraded Readersの多読教材によるERWL (Extensive Reading While Listening) の効果と、通常の読み物を用いたRWLの違いはあるのかも調べておく必要がある。いわゆる通常の読み物でも、昨今のデジタル技術の発達による文字音声化は可能であるが、果たしてgraded readers 等を用いた多読として教材準備をするのが良いのか、通常の読み物の文字音声化を活用すればよいのかなど、今後の教授法研究には欠かせない視点もある。 さらに、明らかにしたい点としては、RWLは読み手にとってかえって読みのスピードが阻害される問題がある事にも注目する。その場合は、RWLが効果をもたらすのは、英語学習のある特定の段階であり、進んだレべルの学習者にとっては効果は特になく、あるいはむしろ黙読の妨げになりうる可能性などについても、検討していく必要がある。 また、RWLに適した教材をさらに探索するために、英文多読やRWLに造詣の深い研究者によるワークショップを行う検討も始める予定である。
|