研究課題/領域番号 |
22K00826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
川崎 貴子 法政大学, 文学部, 教授 (90308114)
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研究分担者 |
Matthews John 中央大学, 文学部, 教授 (80436906)
田中 邦佳 法政大学, その他部局等, 講師 (70597161)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 第二言語習得 / 音声学 / 音韻論 |
研究開始時の研究の概要 |
言語により存在する音素の数、種類は異なる。音素の混同を避けるために音素同士の知覚的コントラストが保たれるよう、音素間の知覚的距離を維持する制約が働いているとの理論が提唱されている。本研究は、この知覚的コントラストを維持する制約が、L2習得においてどう機能しているのかを実験により明らかにし、L2習得に見られる母語の違いをMINDIST制約を用いた文法モデルで説明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
2022度は、第二言語習得において、母語に存在する音に加えてL2の音声を習得する際、既存の音と追加された音との音響的な距離はどのように維持されるのかを、ベトナム語母語話者の日本語習得を調査することにより検討した。 ベトナム語には /s/ と refroflexの s という二つの無声歯茎摩擦音がある。一方、日本語には s に加え、ベトナム語に存在しない "sh" がある。この新たな音はベトナム語母語話者によりどのように習得されるのか、主に発話の音響分析を行うことにより、検討した。1つ目に行っているものは、ギエム(2023)によるベトナム語の北部方言話者と南部方言話者の日本語習得研究の比較を発展させる研究である。ベトナム語の中でも、異なる方言を母語とするベトナム語母語話者を対象とし、母語方言の歯擦音の表出の違いが、L2としての日本語発話に影響するのかどうかを調べるため、異なる方言を母語とするグループの発話を音響的に分析した。その結果、南部・北部方言の学習者間では、初級学習者の間に違いがみられた。本研究の予備的分析結果は2023年に開催される、日本認知科学会の大会で発表予定である。 2つ目の研究では、ベトナム語母語話者による母語のベトナム語発話と、L2である日本語発話を分析し、ベトナム語母語話者のベトナム語の歯擦音と、日本語の歯擦音発話の音響的特徴を測定した。そして計測された音響的特徴から、母語の歯擦音に加え、新たに日本語の"sh"を習得する場合、母語に存在する音と新たに追加された音との区別はどのように行われるのかを調査した。こちらの研究も秋の日本認知科学会で発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度、夏には日本第二言語習得学会のワークショップにて、第二言語音韻習得についての発表を行った。 また、2022年秋にはボストンで開催された言語習得関連の学会(BUCLD 47)に参加し、第一言語・第二言語の音韻習得に関するセッションに参加、同分野の研究者との意見交換を行った。 2022年度には、中国語・ベトナム語母語話者の日本語発話の分析を行うべく、ベトナム語母語話者と中国語母語話者の日本語発話を録音し、音響分析を行う予定であった。しかし、録音に参加予定であった中国語母語話者が中国に帰国し、まだ十分な人数が日本に入国していなかったため、発話実験を終えることができなかった。そのため、ベトナム語母語話者を対象とした調査をまず行った。研究代表者の体調の問題があり、録音、および音響分析を行うことに想定していた以上の時間を要したが、概要に記載した2つの研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は外国人の入国も解禁されたため、録音に参加可能な中国語母語話者による録音を夏までに行うことにしている。また、音響分析を行う予定である。さらに、ベトナム語・中国語・日本語を母語とする話者を対象として、聴覚実験の設計を行う予定である。 さらに、新たにベトナム語を母語とする連携研究者と共同研究を行い、ベトナム語についての情報を得て、録音・分析などを共に進める予定である。 2022年度は研究代表者の疾病により予定が遅れたが、幸い回復しており、2023年度には研究を問題なく進めていける予定である。
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