研究課題/領域番号 |
22K00836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小倉 佳絵 (高光佳絵) 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (10334591)
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研究分担者 |
崔 蘭英 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (80396803)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アメリカ化 / 人種統合 / IPR / 朝鮮IPR / 排日移民法 / 環太平洋 / 移民排斥 / YMCA / 非政府組織 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第一次世界大戦から1950年代に至る環太平洋地域の帝国再編・解体期における複数のトランスナショナル・ネットワークの対立と協力の実態を明らかにするものである。同地域においてイギリスが影響力維持を狙って構想したBIIAネットワークと米国中心のIPRネットワークの競合に際して、アジア系移民排斥問題がいかなる影響を与えたのかを明らかにする。アジア系移民排斥問題に注目して環太平洋トランスナショナル・ネットワークの形成を検討することは、国境を超えて排斥が拡大するメカニズムを解明することとなり、現代に続く移民難民問題解決への知見を提供することにつながる。
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研究実績の概要 |
今年度は本研究課題の第2のリサーチ・クエスチョンである「日本・中国・朝鮮のアジア知識人たちの間になぜ連帯が効果的に形成されなかったか」を中心に研究を推進した。研究代表者はサバティカル研修のため主として米国アラバマ大学タスカルーサ校において研究を進め、19世紀末の「アメリカ化」運動におけるハワイの特殊な立ち位置とIPR創設の関係を解明した。ハワイにおける白人主導の人種統合(inter racial)は当時の人口の半数以上を占めたアジア系(日系、中国系、朝鮮系、フィリピン系)を教会やYMCAの活動を通じて英語を媒介言語とした新しい集団に改編しようとするものであった。同時期に米国本土では日系の排斥が進展したことを考えると、包摂の方向性が見いだせるものの、IPRを通じた普遍化は困難であり、ハワイ・モデルを通じたアジア知識人たちの連帯は形成されなかった。ハワイ・モデルは、統治者が少数でかつ被統治階層の政治的独立の意思が弱いという条件の下でのみ機能しうるものであったため、カリフォルニア州でも朝鮮でも実現が困難であったと考えられる。この成果を既に収集した一次史料の分析を加筆する形で、単著『戦間期アジア・太平洋トランスナショナル・ネットワークと国際政治―IPRと「アメリカ化」・「開かれた地域主義」の起源―(仮題)』の執筆を進めた。また、研究分担者崔蘭英ほか編集による『東アジア・知識人・ネットワーク』が汲古書院から刊行され、研究代表者は「戦間期における米国中心のトランスナショナル・ネットワークと東アジア知識人 ―YMCAとIPWからIPRへ―」と題してIPRネットワークの基盤を形成した米国主導のYMCAネットワークについて論じた。 さらに、Institute of Pacific Relations(太平洋問題調査会)の機関誌であるPacific Affairsおよびその前身のIPR Notesの電子データの収集を進め、分析のための準備作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年3月にシアトルにおいて開催されたAAS(Association of Asian Studies)に応募し、パネル(報告者3名、コメンテーター1名)として採用されたが、報告者1名とコメンテーター1名が所属機関の都合で参加が困難となったため、パネル全体を辞退することとなった。次年度以降、あらためて国際学会での発表を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
円安が進んでいるため北米の国際学会での報告のために渡米することのハードルが上がっており、国内および近隣諸国での発表を視野に入れて報告の場を再検討する。
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