研究課題/領域番号 |
22K00837
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60376639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 金石文 / 墓葬文化 / 東アジア / 墓誌 / 買地券 / 比較史 / 儀礼 / 金石文資料 / 形態的分析 |
研究開始時の研究の概要 |
東アジアにおける墓葬文化の伝播と各地における展開の過程を具体的に描き出すため、本研究では墓誌・買地券といった金石文資料をとりあげ、特にその形態的特徴に注目して分析をおこなう。研究協力者とともに実物調査・現地踏査を実施し、事例収集をふまえた比較研究を進めるとともに、今後の比較研究の礎となりうるような基礎データの発信に努める。
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研究実績の概要 |
本研究は墓誌・買地券といった金石文資料を中心に、その形態的特徴に注目しつつ、墓葬文化の東アジア世界への伝播と受容・変容の過程について考察するものである。 本年度は、昨年度末に刊行した書籍『黄泉の国との契約書―東アジアの買地券』(勉誠出版、2023年3月刊)の中国語版出版のための作業をおこなった。編者間で中国語翻訳をおこない、協議を重ねて質の高い翻訳文に仕上げるとともに、追加の調査を実施して、その成果も盛り込んだ。完成した書籍『古代東亜世界的買地券』(浙江人民出版社、2024年1月刊)は、中国側の研究費助成も受けて刊行し、中国の代表的な研究機関・大学図書館・研究者等に送付して反響を得ている。 10月には、韓国・国立公州博物館における特別展示「1500年前の百済武寧王の葬礼」の見学および宋山里古墳群の遺跡踏査等をおこなった。同展は、上記『黄泉の国との契約書』での成果、および研究代表者の論文なども反映した内容となっており、韓国学界における本研究課題の成果に対する受けとめを確認することができた。上記書籍では、韓国国内に分蔵される買地券についても初めて集成・紹介したが、それらが同一会場に集められ展示されたことも画期的であった。 そのほか、日韓の金石文資料を用いた古代社会に関する研究、古代の文字文化に関連して韓国古文書に関する紹介文の作成、正倉院文書の調査・研究にも取り組んだ。あわせて上記書籍の内容をわかりやすく一般向けに紹介する小文も執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国語版書籍の刊行を実現したことで、買地券に対する関心の高い中国人研究者に認知してもらえるようになり、今後の研究交流の礎を築くことができた。日本ではまだ認知度の低い買地券であるが、一般向けの書籍などにも研究成果をわかりやすく解説する文章を執筆した。国内調査・韓国調査も計画的に実施してきており、来年度初頭に実施予定の中国調査の準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19のために延期を続けていた中国調査を、来年度初頭に実施すべく準備を進めている。他にも韓国における研究成果の報告と調査を来年度中に予定しており、また金石文関係書籍の編集作業も継続的に取り組んでいる。国内においても複数機関における史料調査を計画しており、それらの成果は研究会報告や論文として随時公表していく予定である。
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