研究課題/領域番号 |
22K00840
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉永 匡史 金沢大学, 人文学系, 准教授 (20705298)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 軍事儀礼 / 兵書 / 古代日本 / 唐王朝 / 比較史 / 日本古代史 / 中国唐代史 / 律令 / 軍事 / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「古代日本と中国唐王朝において、軍事儀礼はどのような構造をもち、支配秩序・理念といかなる関係をもったのか」という学術的関心に基づき、古代日本と中国の両地域における軍事儀礼の特色を、儀礼構造と支配体制の双方の観点から解明する。そして両者の比較検討によって共通性と差異を抽出し、世界史における古代国家の軍事儀礼と支配秩序の関係についての新たな知見を導き出すことを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では、「古代日本と中国唐王朝において、軍事儀礼はどのような構造をもち、支配秩序・理念といかなる関係をもったのか」という学術的命題のもと、古代日本と中国の両地域における軍事儀礼やこれをシステム化する法制度の特色を、その構造と支配体制の双方の観点から解明し、両者を比較検討することによって共通性と差異を抽出し、その意義を明らかにすることを目的とする。 当該年度は前年度に引き続き、古代日本の軍事儀礼について、律令などの法制史料や儀式書をもとにして軍事儀礼の構造解明を進めた。射礼に加えて、行軍が勝利を報告する献捷のシステムや儀礼について検討を進めた。とくに中国唐代を中心に検討を行い、研究成果は現在成稿中である。 さらに唐代史研究に関して、『大唐開元礼』の「軍礼」記事を検討するとともに、個別の軍事儀礼のすがたを伺う一助となる唐代の兵書について、書誌学的調査を進めた。具体的には李筌『太白陰経』を中心に据えて検討を進め、その成果は吉永匡史「『太白陰経』の史料的性質 ―『通典』との関係性をめぐって―」(『金沢大学歴史言語文化学系論集 史学・考古学篇』16号、2024年)として公表した。ただ『太白陰経』の内容はもちろんのこと、李筌の実像など論じ残した点も多く、継続して研究を進める必要がある。その他、『陰符経疏』・『長短経』・『武経総要』・『歴代兵制』などの唐代・宋代に著された兵書についても、東洋文庫や東京大学などで史料調査を実施した。調査は次年度も引き続き行う予定である。 また唐代の文化受容のあり方は、儀礼の構築と密接に関わる。この観点から、日隋関係についての所見を吉永匡史「遣隋使と倭」(佐藤信編『古代史講義 【海外交流篇】』筑摩書房、2023年)として公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究成果は学術論文を成稿中であり、次年度以降に公表予定である。史料調査・史跡調査も継続的に実施しており、おおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に準拠しつつ、次年度も研究を推進する。日唐の軍事儀礼比較研究については古代日本の軍事儀礼の検討に比重を移し、儀式書を中心に検討を進める。また併せて、軍事儀礼の前提となる軍事制度に関しても、唐軍防令・公式令や兵部式の復原研究、および復原根拠史料の史料学的研究を推進する。さらに前年度より継続して、唐代・宋代に著された兵書の史料調査を実施し、特に『太白陰経』の史料学的検討を進め、著者である李筌の実像にも迫っていきたい。 前年度に引き続き、日本国内の史料所蔵機関における史料・写本・版本調査、および儀礼空間の復原に関する現地調査を実施する。また前年度は代表者の健康上の理由により海外調査を控えたが、今年度は台湾にて史料調査を実施したいと考えている。
|