研究課題/領域番号 |
22K00841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
SAVELIEV IGOR 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (60313491)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 帝国 / 移民政策 / 東北アジア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東北アジアにおける大英帝国とロシア帝国の移民政策を研究の対象にして、未 発掘のイギリスの植民地省と帝政ロシアの移住局の史料などの分析に基づいて、海洋帝国 (大英帝国)と大陸帝国(ロシア帝国)の移民政策の決定過程および中央・辺境の諸関係を 比較し、両方における帝国構想をめぐる議論、帝国の官庁による移民政策の決定過程、帝国 内の各アクター(宗主国の官庁(植民地省、移住局等)、植民地・辺境地の行政官、企業、知識人 等)の役割および相互関係、帝国内の人材管理、東北アジア諸国からの海外移住および国内 移住、民族政策を明らかにし、ポストコロニアルな社会の異民族間関係への影響を解明し、帝国論を問い直す。
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研究実績の概要 |
令和5年は、4・5月に1895年と1901年の新聞『ウラジオストク』を調査し、収集した資料を東北アジア史に関する文献などの資料と合わせて、ロシア帝国の移民政策の決定過程および中央・辺境の諸関係を、帝国構想をめぐる議論、帝国の官庁による移民政策の決定過程、帝国内の各アクター(宗主国の官庁(植民地省、移住局等)、植民地・辺境地の行政官、知識人等)の役割および相互関係、東北アジア諸国からの移住および国内移住について分析を行った。2023年6月10日に「日露交流史研究会」第15回例会において、「世紀転換期のロシアの社会における極東・中国東北での植民事業をめぐる議論」というテーマで、口述発表を行った。さらに、国際共同研究を推進するために、研究者のネットワークを強化させ、大邱市(大韓民国)に開催されるアジア研究学会アジア学術大会(AAS-in-Asia Daegu Conference)において、4人の研究者とともにセッション”Making Space for Identity Under Settler Colonialism in Northeast Asia”を組織し、研究成果報告”The Anxious Settler Society: Social Strata and Urban Spaces at the Ussuri and Chinese Eastern Railroads, 1890s and 1900s”を行った。さらに、同月に研究成果の一部を学術論文「二〇世紀初頭の中国東北地方における鉄道建設と人の移動―ウスリー鉄道と中東鉄道の活動を中心に」を『ロシア史研究』(査読あり)に掲載した。8月からは、資料調査を継続し、令和6年4月にイギリスの国立公文書館での史料調査の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4・5年には、1890年代から1900年代にかけての新聞『ウラジオストク』を調査し、収集した資料を東北アジア史に関する文献などの資料と合わせて、ロシア帝国の移民政策の決定過程および中央・辺境の諸関係を、帝国構想をめぐる議論、帝国の官庁による移民政策の決定過程、帝国内の各アクターの役割および相互関係、東北アジア諸国からの移住および国内移住についての分析を行う。2023年6月10日に「日露交流史研究会」第15回例会において、「世紀転換期のロシアの社会における極東・中国東北での植民事業をめぐる議論」というテーマで、口述発表を行った。さらに、国際共同研究を推進するために、研究者のネットワークを強化させ、大邱市(大韓民国)に開催されるアジア研究学会アジア学術大会(AAS-in-Asia Daegu Conference)において、4人の研究者とともにセッションを組織し、研究成果報告を行った。さらに、同月に研究成果の一部を学術論文「二〇世紀初頭の中国東北地方における鉄道建設と人の移動―ウスリー鉄道と中東鉄道の活動を中心に」を『ロシア史研究』(査読あり)に掲載した。令和6年4月からはイギリスの国立公文書館での史料調査の準備を行い、4月26日から5月3日にかけて、同公文書館において、19世紀の大英帝国の移民政策に関する史料調査を実施した。それに基づいて、5月から7月にかけて学術論文を執筆する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、資料調査を継続し、令和6年4月26日から5月3日にかけて、イギリス国立公文書館(National Archives in Kew Gardens)において、19世紀における大英帝国の移民政策、とくに移民を監督する官庁および東アジアにおける契約移民の募集に関する史料を調査する。収集したイギリスの史料に基づいて、大英帝国の移民政策の決定過程および中央・辺境の諸関係を、帝国の官庁による移民政策の決定過程、帝国内の各アクター(宗主国の官庁(植民地省、移住局等)、植民地・辺境地の行政官、知識人等)の役割および相互関係、東北アジア諸国からの移住および国内移住について分析を行い、東北アジアにおける大英帝国とロシア帝国の移民政策の比較を試みる。さらに、随時学術論文を執筆し、7月にその一本を『名古屋大学人文学研究論集』に投稿する。さらに、研究代表者は、3年間の研究を取りまとめ、2025年1月に名古屋大学にて 「帝国と移民」(仮)として国際学術シンポジウムを開催し、国内外のゲスト・スピーカー を招集する。帝国論を発展するための議論を促すことを目的に、帝国論を発展させる。また、 シンポジウムでは、帝国論を進展する理論的研究、各帝国の構造的特徴を比較し、帝国内の 人の移動に関する事例研究を行い、随時、学術論文を執筆し研究成果を発表する。
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