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民衆絵画の詞書きの変遷についての東西比較文化史

研究課題

研究課題/領域番号 22K00844
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03010:史学一般関連
研究機関女子美術大学

研究代表者

原 聖  女子美術大学, 芸術学部, 客員研究員 (20180995)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード民衆画 / 東西比較 / 詞書 / 蘇州版画 / 大津絵 / 売薬版画 / 佐野祝い絵 / 民画 / 民衆絵画 / 錦絵新聞 / 年画 / 長崎版画 / 東西比較文化史 / 比較文化史
研究開始時の研究の概要

欧州に関しては、エピナル版画などの民画について、詞書の時代ごと、題材ごとの変遷状況、詞書の様態、その内容を調べ、比較検討する。とりわけ歌って販売された証左(「・・の節で」といった断り書きや歌って販売される場面の図像など)の確認は重要である。可能であれば、どのような節(曲)であったかについても調べる。さらに類似出版物であるブロードサイド、民衆小冊子について可能な限り同様の調査を行う。中国、朝鮮、ベトナムについては、年画について同様の比較研究を行う。日本については、大津絵、浮世絵版画、錦絵、瓦版などがその対象である。最後に欧州と東アジアの状況について、比較文化史的研究を行う。

研究実績の概要

本年度は3年の科研の2年目であり、昨年度に引き続き、東西比較の前提となる、各地域での民画とその詞書についての研究会を企画し、討論を行った。第1回は、6月24日、女子美杉並キャンパスにて、前回の科研の成果として前年度、2023年3月に出版した『民衆画の世界』の書評会である。小池淳一(国立歴史民俗博物館、民俗学)、渡浩一(明治大学、日本文化史)、竹下和亮(フランス近代史)の書評を聞き、討論を行った。第2回は、10月7日、宇都宮文化会館にて佐野祝い絵の研究家藤田好三のコレクションを見ながら報告を聞き、討論を行った。第3回は12月9日、小池淳一(国立歴史民俗博物館)により、「陰陽師をめぐる絵とことば」というタイトルで、陰陽師たちの絵画表現とその意味についての解説を聞き、討論を行った。第4回は2024年3月9日、女子美杉並キャンパスにて、2人の報告を聞いた。1人は三山陵(日中芸術研究会)であり、「天理図書館蔵中国民間版画の詞書きについて、及び中国民間版画研究の動向」というタイトルで、前年秋に調査した天理図書館での資料に基づいて解説を聞き、さらに中国民間版画研究の最新の動向についての報告を聞き、討論を行った。もう1人は加藤紫識(和洋大学)であり、「職・商人の信仰と図像」というタイトルで、職人や商人の守護神の図像とその意味についての解説を聞き、討論を行った。
このほか8月8日、広島県廿日市市海の見える杜美術館にて、「蘇州版画の光芒」展、翌9日、大阪中之島美術館で「民藝、美は暮らしのなかにある」展、また8月18日、群馬県高崎市タワー美術館にて、「大江戸の賑わい 幕末明治の浮世絵百年」展、翌19日、栃木県那珂川町馬頭広重美術館にて「旅する大津絵」展の見学調査を行い、さらに2024年2月17-18日、富山市郷土博物館、富山市民芸館、薬種商の館金岡邸にて売薬版画の調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に引き続き、個別事例の検討を重点に研究会を4回、また実地による調査を1回(3箇所)、展覧会の見学調査を2回(4箇所)行った。佐野祝い絵といったこれまで一般に知られていなかった民衆画の発掘、また中国蘇州版画の欧州との関係など新たな関係の発見などがあり、充実した研究会、調査であった。しかしながら中国については実地調査をするはずであったが、できていない。ただ現地の専門家とのコンタクトはできており、我々の研究についての情報を中国の専門雑誌に載せている。
欧州についてはこちらも現地調査ができていないが、それに代わる文献の収集は進んでおり、これに基づく報告も準備中である。
東西比較については、4回にわたる研究会の折にも、また3回、7箇所にわたる実地・展覧会調査の折にも、それに心がけて調査・研究を進めることができたが、東西比較それ自体を目的とした研究集会についてはまだ行っていないので、課題として残っている。

今後の研究の推進方策

2024年度は本科研プロジェクトの最終年度であり、民衆画の詞書について、総合的な東西比較を中心に、プロジェクトを進める。4月に福島県只見町のただみ・ものとくらしのミュージアムにて、古文書における幾つかの図像を取り上げて、その解釈についての報告を聞き、討論を行う。6月には中国の蘇州版画の専門家を招聘して、おもに日本と欧州との影響関係についての報告を聞き、討議を行う。10月には、フランス国立極東学院京都支部において、本科研プロジェクトのまとめの総合討論を行う。そのために日本の各種民画、中国、韓国、ベトナム、また欧州についての専門家を研究協力者として招聘する。さらに年度末には、前回のプロジェクト(2019-21年度「民衆画の東西比較」科研)のまとめとして出版した『民衆画の世界』の続編として、民衆画の詞書についての論集の出版を計画している。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 「斯人已逝,英名永存――追悼張偉先生」2023

    • 著者名/発表者名
      三山陵
    • 雑誌名

      年画研究

      巻: 秋号 ページ: 224-228

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際共著
  • [雑誌論文] 「“蘇州版画的光芒”展覧曁観摩会、演講会」2023

    • 著者名/発表者名
      三山陵
    • 雑誌名

      年画研究

      巻: 秋号 ページ: 235-241

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際共著
  • [雑誌論文] 「発見!ただみの文化遺産第9回 ゆるくてかわいいハラノムシたち『五臓曼荼羅一巻』」2023

    • 著者名/発表者名
      久野俊彦
    • 雑誌名

      広報ただみ

      巻: 643号 ページ: 1-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 上海陳茂記的木版年画与石版年画2022

    • 著者名/発表者名
      三山陵
    • 雑誌名

      年画研究(北京、文化藝術出版社)

      巻: なし ページ: 191-213

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際共著
  • [学会発表] 「庶民の神仏画としての大津絵についての一考察」2023

    • 著者名/発表者名
      クリストフ・マルケ
    • 学会等名
      第67回国際東方学者会議
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「世界が見た大津絵 日本の民画の魅力」2023

    • 著者名/発表者名
      クリストフ・マルケ
    • 学会等名
      グローバルウィメンズクラブ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Lire les images populaires d’Otsu de l’epoque d’Edo : inscriptions, eloges et poemes moraux2023

    • 著者名/発表者名
      Marquet, Christophe,
    • 学会等名
      Graduate School East Asian Studies, Universite Paris Cite
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 「ド・ロ版画の版木に関する初歩的分析」2023

    • 著者名/発表者名
      三山陵
    • 学会等名
      科研「日本における上海土山湾工房作品の流布と影響に関する調査」 2023年度第1回研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「ド・ロ版画版木の製作方法に関して」2023

    • 著者名/発表者名
      三山陵
    • 学会等名
      科研「日本における上海土山湾工房作品の流布と影響に関する調査」 2023年度第2回研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「九州国立博物館蔵『針聞書』「ハラノムシ図」と福島県只見町蔵『五臓曼荼羅一巻』「九虫形象図」」2023

    • 著者名/発表者名
      久野俊彦
    • 学会等名
      第841回西郊民俗談話会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 柳宗悦における「下手もの」(雑器)と「民具」への言及―「民藝」「民具」成立期の共通と相違― 」2023

    • 著者名/発表者名
      久野俊彦
    • 学会等名
      第844回西郊民俗談話会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「『民衆画の世界 ― 欧州と東アジアを比較する』について」2023

    • 著者名/発表者名
      原聖
    • 学会等名
      現代史研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 言語、文化の狭間(あいだ)で 歴史における翻訳2024

    • 著者名/発表者名
      平田雅博、原聖、割田聖史、安村直己、岡本真希子、佐々木洋子、川手圭一
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      三元社
    • ISBN
      9784883035878
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] Hiroshige et l’Eventail. Voyage dans le Japon du XIXe siecle,2023

    • 著者名/発表者名
      Christophe Marquet
    • 総ページ数
      96
    • 出版者
      Musee national des arts asiatiques - Guimet/Reunion des musees nationaux - Grand Palais
    • ISBN
      9782711879540
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 近代中国美術の辺界2022

    • 著者名/発表者名
      三山陵 瀧本弘之 戦暁梅
    • 総ページ数
      372
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      9784585325154
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] Les Eventails d’Edo. Estampes de la collection Georges Leskowicz,2022

    • 著者名/発表者名
      Christophe Marquet
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      Fondation Georges Leskowicz / In Fine Editions d’art
    • ISBN
      9782382030868
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] ケルトの解剖図鑑2022

    • 著者名/発表者名
      原聖
    • 総ページ数
      159
    • 出版者
      エクスナレッジ
    • ISBN
      9784767830544
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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