研究課題/領域番号 |
22K00850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
森岡 優紀 国際日本文化研究センター, 研究部, 日本学術振興会特別研究員(PD) (20411134)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 清末 / 伝記 / 歴史叙述 / 伝記史 / 梁啓超 / 明治日本との関係 / 幕末の歴史書 / 近代伝記 / 東アジア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代中国の歴史認識の思想的な源泉はどのように形成されて普及したのかという核心的な問いを、従来の史学史研究では取り上げてこなかった伝記、新聞や雑誌記事などの史料と、歴史叙述と重大事件や重要人物の関係を探るなどの全く異なるアプローチの方法を取り解明する。また、本課題の目的を達成するために、日本の研究者だけではなく、中国、香港、台湾などの海外の研究者と共同で研究を行い、研究のネットワークを構築することも目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、歴史認識の思想的な源泉がどのように形成されて普及したのかという核心的な問いを、史学史研究とは全く異なる史料とアプローチの方法を取って行うものである。従来の史学史研究では分析の対象は、主に書籍が中心であった。しかし、本研究ではこれらの史学史では取り上げてこなかった伝記、新聞や雑誌記事などの史料も分析する。同時に、歴史叙述と重大事件や重要人物の関係を探るなどの全く異なるアプローチの方法を取り、メディアとの関係や、重大事実・事件との関連性を探る。 まず、今年度は清末に雑誌に掲載された後に書籍化された梁啓超が書いた『殉難六烈士伝』に関しての発表を行った。『殉難六烈士伝』は、戊戌政変により殉死した六人の烈士の伝記であり、同じく梁啓超が書いた『戊戌政変記』の後につけられたものである。梁啓超は戊戌政変の当事者であり、亡命後に自らの同志でもあった仲間を弔う意味も込めて『殉難六烈士伝』を書いた。本研究ではその内容だけでなく、発表された媒体や用いられた史料などについて重点をおいて調べた。そして、その成果を発表した。また、明治期の出版広告に関する研究も行った。民友社は伝記の近代化に大きく貢献し、多くの伝記を出版した。これらの伝記を出版する際に、多くの出版広告を当時の新聞や雑誌、または書籍の奥付に掲載した。読者はこれらの出版広告を見て伝記を購入したと思われる。ある伝記が増版されるほど、出版広告はより多くの新聞や雑誌に出版広告を掲載した。ここから伝記の読者が伝記に何を期待して読み、どのような社会階層が伝記を好んだのか等のことが推測できる。これらの分析を踏まえて、伝記とその読者に関する発表を日文研の研究班で行った。最後に、清末に関する英文書を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は新型コロナウィルスの感染の流行が続いていたため、海外出張がいまだに自由にできない状況であった。そこで中国に直接赴いて史料を収集することは難しい状況にあった。これに対して、令和5年度は新型コロナウィルスの感染の流行がほぼ収まり、中国への出張が比較的自由に行うことができるようになった。以前と比べると確かに海外の研究者との交流、海外出張が格段と容易になり、そのため令和5年度は中国への出張を2度も行う事ができ、史料の収集が進んだ。 現在は令和4年度まで行えなかった史料を収集している段階であり、令和5年度はまだそれが十分に成果として発表できていない状況にあるが、研究自体は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、中国およびアジア圏において、海外の渡航の制限が大幅に緩和された一年であった。令和6年は新型コロナウィルスの流行前の状態になると思われる。そのため、日本の研究者が海外の大学や図書館において史料の捜索することが通常どおりに行えるであろうと予想される。 以上のような状況の変化から、本研究は今後、主に中国、台湾、香港、韓国等のアジア地域に直接赴き、史料を収集する予定である。また、令和5年度に主に中国において収集した史料を分析を行い、国内外の研究会、シンポジウムなどで積極的発表を行うと同時に、雑誌や書籍などに論文を掲載する予定としている。 以上から、今後はより一層、研究の発信に力を入れて行っていきたいと考えている。
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