研究課題/領域番号 |
22K00853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
千葉 真由美 茨城大学, 教育学部, 教授 (50396933)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 印・押印 / 近世 / 文書作成 / 法令 / 領主 / 村落 / 都市 / 印判師 / 印と押印 / 日本近世 / 村 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本社会の印と押印のあり方を歴史的視点で問い直し,「自己存在証明」としての印と押印の意味を考察するものである。日本社会において一般の民衆の印の所持が浸透したのは「文書社会」ともよばれる江戸時代である。本研究では江戸時代の幕府文書や藩政文書など支配側の文書および村方文書・町方文書における印および押印関係史料を全国的に集積し,印と押印の様相を実証的に検討する。支配―被支配の関係をふまえた総合的な検討のため,幕府法令や判例、印の管理や改印の様相,印の形態の地域差や年代差など印と押印に関わる史料を対象として,関係文書のデータを集積し,事例研究にとどまらない総合的な研究成果を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は日本社会の印と押印のあり方を歴史的視点で問い直し,「自己存在証明」としての印と押印の意味を考察するものである。近世の幕府文書や藩政文書など支配側の文書に加えて,村方文書・町方文書における印および押印関係史料を集積する。具体的には幕府法令や判例,印の管理や改印に関わる史料,さらには印の流通に関連して印判師と購入者のつながりを示す史料を対象にデータを集積している。 令和4年度は水戸藩領を含めた茨城県内を対象に関係史料の集積を進めることができた。特に江戸の印判師については公事宿との関係を考察できたほか,現在の印章技術の伝承についての聞き取りを進め,今後の検討についての見通しを立てている。また徳島県や山梨県においても関係史料を集積することができた。 まず幕府文書や藩政文書を対象に支配役所における押印のあり方を法令等から検討することを主眼としたことから,上記の調査で得られたデータを順次分析,翻刻して内容を検討している。また村方文書・町方文書の掟書や証文や願書を対象とした史料の集積も目録等を利用して進めることができた。さらに印の使用状況を分析し,印の管理と改印のあり方,そして印の購入についての史料を集積できたことで,次年度以降の具体的な分析対象を絞り込むことが可能となった。 次年度以降は村や町での印をめぐる争論関係文書を対象に史料調査を実施し,争論と印および押印への意識についての検討を具体的に進める予定とする。合わせて支配や地域差等も含めた印と押印の様相を提示,研究成果については論文や報告書の形で公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は茨城県立歴史館および茨城大学図書館での調査を実施し,水戸藩領を含む茨城県内を対象として,支配と印に関わる史料を検討した。江戸の印判師関係史料も新たに集積し,印判師の多様な活動を確認している。また江戸の印判師の系譜に連なると考えられる,現在の東京都の印章業者の方々からも情報を得ることができた。 また徳島県立文書館や徳島県立図書館において,徳島藩関係文書中から印および押印に関する史料を抽出することができた。集積した史料は随時翻刻し,内容を検討している。なお山梨県立博物館での調査を実施したことで,印の流通についての特質を見出し得ると考えている。 当初予定していたにもかかわらず実施できなかった調査もあるが,目録等での確認作業は計画通り進めることができていることから,本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は弘前藩や福岡藩など,印判師が多く居住する三都から比較的遠方地域を対象として調査を実施する予定である。前年度に予定していた機関での調査を実施すると共に,集積した史料を随時翻刻し,内容を検討する。特に幕府や藩による法令については網羅的に収集し,地域的特質についておおよその見通しを立てることを主眼とする。
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