研究課題/領域番号 |
22K00854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊東 久智 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90434373)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 日本近代史 / 男性史 / 青年 / 政治運動 / 社会運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①戦間期(1920年代半ば)の地域(農村)/中央(都市)における「青年」を担い手とした政治・社会運動(具体的には、地域青年党運動・学生社会運動―無産政党運動)の事例的実態の比較対照と、②「青年」を含む当該期の男性を顧客とした大衆娯楽(具体的には、講談雑誌)に対する男性史的アプローチの実践という一見交わることのない二つの課題への取り組みを通じて、運動史研究とジェンダー史研究を各々実証的に進展させつつ、かつ双方を架橋するための方途を探ることを目的として遂行されるものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、運動史研究とジェンダー史研究を各々実証的に進展させつつ、かつ双方を架橋するための方途を探ることを目的として、(1)戦間期の地域(農村)/中央(都市)における「青年」を担い手とした政治・社会運動の事例的実態の比較対照と、(2)「青年」を含む当該期の男性を顧客とした大衆娯楽に対するジェンダー史(男性史)的アプローチの実践を試みようとするものである。 その上で、上記(1)の課題については、農村の中層以下の「青年」を担い手とした①地域青年党運動と、都市の学生などを担い手とした②学生社会運動(及びその延長線上にある無産政党組織運動)の総合的把握を図ることを、上記(2)の課題については、大衆娯楽と男性性との密接な関係性に着目しつつ、③主要「講談雑誌」のジェンダー分析を行うことを、それぞれ具体的な作業として設定している。 研究実施期間中の各年度とも、上記①・②・③の各対象について、文献調査と史料調査を組み合わせた研究計画を立案しているが、令和5年度の当初計画は、①=『伊予日日新聞』の調査、②=田所輝明の著作のリスト化・確認、③=『講談倶楽部』(講談社)の調査、というものであった。 次に令和5年度の研究実績の概要であるが、上記②の作業については、令和4年度以降、関連論文を執筆する過程ですでに完了しており、代わって、地域(愛媛県)における青年団運動についての調査(愛媛県内の青年団を対象とした啓蒙雑誌の調査)を立案・実行した。その過程において、同じく愛媛県を事例としている①の課題にも進展がみられたが(第15回総選挙前後に活動した地域青年党のリストアップが完了した)、当初計画(新聞史料の調査)には引き続き遅れがみられる。また③についても、令和4~5年度は②及び①にエフォートを集中させる格好となったため、所蔵機関・対象巻号の確認にとどまっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」欄にも記載した通り、本研究の令和5年度の当初計画は、①地域青年党運動については、『伊予日日新聞』の調査、②学生社会運動(無産政党組織運動)については、田所輝明の著作のリスト化・確認、③主要「講談雑誌」のジェンダー分析については、『講談倶楽部』の調査であったが、②については当初計画以上に進展がみられるものの、①についてはやや遅れが、③については遅れがみられる。 ただし、②に関連する論文を完成させる過程において、当初計画時には想定していなかった研究の広がり、具体的には、①地域青年党運動-②無産政党組織運動-青年団運動の三者が戦間期の地域社会においていかなる関係を取り結んでいたのか、というより広がりのある問いを獲得することができた。当初計画にはなかった青年団運動の調査を開始したのは、それが研究の発展を促す重要な因子たり得るとの判断からである。 また①についても、②と連動しつつ、地域社会における実態についての調査には着手できており、さらに③の遅れについても、残りの研究計画のなかで十分調整可能な範囲に収まっている。したがって、現在までの進捗状況は、総合的にみれば「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の研究計画は、①『愛媛新報』『海南新聞』の調査(第20回県議選)、②無産政党関連史料(刊行史料)の調査/官憲史料(刊行史料)の調査、③『講談倶楽部』の調査(継続~1920年前後を目処に)、というものである。既述の通り、②については完了しているため、①及び③(令和4~5年度の遅れ分を含む)を、新たな課題として浮上した青年団運動の調査と並行して進めていくことが課題となる。①については、地域社会における実態を雑誌史料(『新使命』)や新聞史料(『伊予日日新聞』『愛媛新報』『海南新聞』)の調査を通じてより広い文脈のなかに位置づけていくこと、③については、実際に講談雑誌(『講談倶楽部』)の調査に着手することがそれぞれ具体的な課題となる。 なお、青年団運動(愛媛県)の調査について、年度中に愛媛県における出張調査(2~3泊程度)を予定している。
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