研究課題/領域番号 |
22K00860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
森下 徹 山口大学, 教育学部, 教授 (90263748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 城下町 / 近郊農村 / 地方城下町 / 城下町域 |
研究開始時の研究の概要 |
研究の進んでいる巨大城下町に比して、個別分析に終始しがちな地方城下町について、固有な研究の方法や意義があるとしたら何かを考えたい。そのため、城下町がとりわけ周辺地域からの規定を強く受けてあったことに注目し、その範囲を「城下町域」として概念化することで、それぞれに個性的なあり方を説明できるのではないかと考えた。具体的には、岡山をはじめ、津山、岩国、山口など、同じく西国ではありながら、規模や立地条件などが異なる城下町・都市域を素材にし、相互の比較をとおして、「城下町域」という概念の有効性を提示してゆきたい。
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研究実績の概要 |
前年度までの活動に引き続いて、岡山城下および近郊農村における史料収集を集中的に行った。これまで岡山市立中央図書館国富文庫、藤原文庫などによって城下町の社会構造と周辺農村との有機的な関係を考察してきたところであるが、その分析をより豊かに発展させうる見通しをもつことができた。 当該年度にあらたに発見できたものに、岡山県立図書館に配蔵されている二日市村、岡村などの願書留がある。城下町の南に隣接するこの地域は奉公稼ぎや婚姻関係を介して、とりわけ城下の諸町と一体化していた様相を具体的に把握できた。また戦災に遭って史料に乏しい岡山城下のなかにあって、同図書館に複数の町の人別帳が伝来していたこともあらたに確認できた。 さらに同図書館には、城下町東方、沖新田の庄屋史料には在方下役人を勤めたことによると思われる帳簿類が豊富に残されており、それらを収集することで、上道郡、津高郡、御野郡といった近郊部在方の社会構造分析が可能になる。その作業にも着手している。この他、岡山シティミュージアムで開催された企画展で岡山藩領域の絵図を概観することができた。あるいは西国の城下町と比較するために、江戸とその近郊農村に関する史料の所在状況などについての情報収集も行ったところである。 こうして史料収集活動に軸足をおいて研究を進めたが、その成果の一部として、身分論の成果のうえに地域社会をとらえる方法について考察した論考を発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岡山および近郊農村を中心にしながら、史料収集は順調に行えている。並行して分析作業にも着手できている。当初の計画どおり概ね進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
岡山藩領を素材に、城下町と周辺農村との関係にかんする史料収集および分析を引き続きおこなってゆく。対象となるのは、岡山市立中央図書館蔵藤原文庫、国富文庫、岡山県記録資料館小西家文庫、岡山県立図書館郷土資料などである。これらについては、すでに一程度の収集、分析を経ているので、労働力の移動、婚姻関係、土地所有、商業活動などいくつかの切り口に沿って成果をまとめるよう努める。 また比較対象として、山口県下の城下町と周辺農村を考察できる素材の収集・分析にもあらたに着手する。目下想定しているものに、城下町に加えて複数の在町からなっていた周防徳山藩領、および岩国城下と周辺農村がある。それぞれ山口県文書館徳山毛利家文庫、岩国徴古館岩国藩政史料より史料収集にあたる。ともに町方関係史料と在方史料の双方からアプローチすることが可能だと考えている。 さらに江戸や大坂という巨大都市と周辺農村との関係についても、主に先行研究によって学び、西国城下町の例との比較考察を試みる。 最終年度に向けて、これらを総合的にとりまとめるための準備にも取り掛かることとする。
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