研究課題/領域番号 |
22K00871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
添田 仁 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60533586)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 開港場 / 石炭 / 居留地 / 軍艦 / 地域社会 / 海防 / 貿易 / エネルギー / 生野銀山 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、幕府海軍が主導した直轄炭鉱の開発及び開港場での石炭の管理・供給システムの構築に注目し、近世・近代移行期の開港場建設における炭鉱開発事業の歴史的意義について、それを支えた開港場を核とする地域社会の役割をふまえて実態的に解明することである。開港を実現し得た社会的基盤の形成を、幕府官僚や鉱山テクノクラートが輸入した西洋の科学的知見と、近世の鉱山社会及び港社会で育まれた人脈・資本・技術とが交差するところに見出そうとする点に特徴があり、これをもって世界的なエネルギー革命に対応した国家的経験の歴史的意義を解明することに、本研究の意義は存する。
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研究実績の概要 |
(1)「石川家文書」(生野書院保管)の炭鉱関係史料のうち未整理史料については、生野書院において地元ボランティアの協力を得た合宿形式の共同調査を実施し、目録の作成(302点)及び写真撮影(399点)を進めることができた。また、生野銀山の掛屋津田家・吉川家等(生野書院所蔵)に含まれる関連文書について目録・史料情報を収集した。さらに、石川家当主が書き継いだ「石川日記」等から、生野銀山での動員に伴う生活の変化と軍事・海外情報の収集活動に関する記述を整理した。 (2)「柴田剛中文書」(神戸市文書館所蔵)に含まれる日記(日載)や神戸の居留地造成に関する史料から、柴田剛中が携わった開港場建設と炭鉱整備の構想に関わる基礎史料の情報を収集した。また文久遣欧使節の渡欧記録である「欧羅巴行視聞実録」(朝来市教育委員会所蔵)の画像を収集した。加えて、兵庫で石炭会所用達を務めた森清之助(嘉納治郎作名代)の記録「嘉納治兵衛・治郎作家文書」(神戸市立博物館所蔵)から、神戸開港に伴う兵庫での港湾・軍事機能の整備や人足・物資の動員に関わる史料を収集した。 (3)幕末長崎居留地の外国人から長崎奉行所に提出された願書や意見書をまとめた「居留場掛書類綴込」(長崎歴史文化博物館所蔵)を用いて、開港場の形成に必要なインフラを整え、支えた地域社会及び日本人港湾労働者の実態について復元し、その成果をもとに長崎学ネットワーク会議公開学習会において「幕末の長崎居留地を生きた日本人-商館の召使と茶製所の日雇を中心に-」と題した報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響で、目録の作成や翻刻を学外者へ依頼することが難しく、当該部分に関わる作業に若干の遅れが見られるが、それ以外については順調に作業を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「石川家文書」(生野書院保管)の炭鉱関係史料のうち未整理史料については、地元ボランティアの協力を得た合宿形式の共同調査を継続して行う。 (2)唐津藩で炭鉱開発を担当した長谷川善兵衛の役割について、同藩で石炭業に従事した諸岡家の史料(九州大学記録資料館・佐賀県立図書館所蔵)を調査する。 (3)神戸における炭鉱事業について、炭鉱元村のうち「車村文書」(神戸市立博物館所蔵)に含まれる願書類と炭鉱開発の展開を突き合わせて、開発に伴う社会問題を分析する。また、兵庫北浜の「北浜惣会所日記」(神戸市立博物館所蔵)から、神戸開港に伴う兵庫での軍事動員による影響と町人の反応について分析を進める。
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