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近代社会における差別と言語表現―ハンセン病・被差別部落を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 22K00874
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03020:日本史関連
研究機関静岡大学

研究代表者

黒川 みどり  静岡大学, 教育学部, 名誉教授 (60283321)

研究分担者 山田 智  静岡大学, 教育学部, 准教授 (90625211)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード差別 / 言語 / 中国 / 竹内好 / ハンセン病 / アジア / 丸山眞男 / 人権 / 被差別部落 / 近代
研究開始時の研究の概要

当該社会の矛盾の先鋭化である差別の問題を、これまでの歴史学では対象とされてこなかった言語表現をとおして、その背後にある社会認識の歴史的ありようを問いつつ追究する。なかでも翻訳という営みに注目し、国民国家の枠組みを超えた相互認識を問うことにより人種主義(レイシズム)の克服をめざす。ハンセン病と日本固有の部落問題を主たる対象とし、差別をめぐる相互理解が言語表現、翻訳にどのように現れるのかを明らかにする。それらを踏まえて、差別のありようと言語表現の関係、それを支える社会の相互認識をどう培うのかを提示する。

研究実績の概要

研究代表者は、前年度に引き続き、ハンセン病とハンセン病差別問題の研究者である徳田靖之氏、藤野豊氏と毎月研究会をもち、研究報告と意見交換を続けてきた。また『被差別部落に生まれて―石川一雄が語る差別事件』を刊行し、石川の歩みを通して被差別部落問題のありようをまとめた。それは、ハンセン病者で石川と同じく同じく冤罪を着せられた藤本松夫の場合とも酷似していることを確認した。
一方、差別問題を考える際の分析軸となる丸山眞男の思想をまとめて書籍として刊行した。
研究分担者は、本研究課題の出発点である竹内好における翻訳の問題を、その初期の活動の場であった中国文学研究会のあゆみの中でとらえた研究を発表した。そこでは竹内による漢文訓読を基とする漢学の限界性への意識は、まさに他者理解の限界性の問題であることを明らかにし、またそれゆえに竹内が翻訳という行為に対してその限界性を意識しながら、翻訳行為自体を主体としての自己認識に昇華するという厳しい姿勢で臨んでいだことを、その活動の初期段階において明らかにした。
本稿での整理によって、本研究課題の起点となった竹内好による魯迅『阿Q正伝』における翻訳語選択の問題も、それは翻訳作業における単なる技術的な問題ではなく、翻訳行為の主体である竹内自身の自己認識の結果であり、すなわち弱者への差別を徹底的に否定し続けた竹内の根源的姿勢の表れであることを指摘するための基礎作業ができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概要にも記したとおり、近代社会における部落差別、ハンセン病差別のありようについて研究を進め、また一方で、翻訳、ひいては他者理解の問題についても研究の進展があった。ほぼ計画通りに順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

24年度は最終年度でもあるため、これまでの蓄積を踏まえつつ、研究のまとめの作業を行う。差別のありようと重ね合わせながら、そこに翻訳という他者理解の問題を深めてゆきたい。これまで通り、研究代表者と分担者が相互に意見交換を行いながら作業を進めたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (21件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 記念講演 水平社運動と同愛会―有馬頼寧の社会運動―2024

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      佐賀部落解放研究所紀要部落史研究

      巻: 41 ページ: 2-30

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 水平社百年から今へ―普遍的人権を求めて―2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      社会文学

      巻: 58 ページ: 13-24

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈総会記念講演録〉水平社百年「近代社会における部落問題」再考2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      静岡県近代史研究

      巻: 48 ページ: 1-14

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 本の紹介 福岡安則『聞きとり もう一つの隔離』2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      解放新聞

      巻: 3079 ページ: 1-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評 平石直昭著『福澤諭吉と丸山眞男―近代日本の思想的原点』2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 874 ページ: 103-107

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 部落史研究が歴史学のなかに位置づくことの希求 第2巻『戦時・戦後の部落問題』を編集して2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      部落解放

      巻: 822 ページ: 18-60

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 解説『講座近現代日本の部落問題』第2巻を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      解放新聞

      巻: 3040 ページ: 3-3

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈座談会〉部落問題の映像化に挑戦―ドキュメンタリー映画「私のはなし 部落のはなし」をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      部落解放

      巻: 830 ページ: 86-103

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈座談会〉見えない部落問題を映像で描く2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 雑誌名

      世界

      巻: 961 ページ: 263-268

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 記念講演「水平社運動と同愛会―有馬頼寧の社会運動―」2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 学会等名
      第40回九州地区部落解放史研究集会―全九州水平社100年記念―(九州地区部落解放史研究連絡協議会/佐賀部落解放研究所主催)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「歴史総合」のめざすもの―教科書の検討から2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 学会等名
      日本歴史学協会・日本学術会議史学委員会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 水平社創立100年 近代社会と向き合い水平社の歴史的意義を問う2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 学会等名
      久留米部落史研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 全国水平社創立100年―近代社会をみつめ水平社の歴史的意義を問う2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 学会等名
      部落解放第54回東日本研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 『講座近現代日本の部落問題』第2巻を編集して2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 学会等名
      部落解放人権研究所第一部門(歴史)公開講座
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 水平社百年の歴史と部落問題の今2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 学会等名
      京都府人権教育研究協議会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 評伝 丸山眞男―その思想と生涯―2024

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 総ページ数
      430
    • 出版者
      有志舎
    • ISBN
      9784908672729
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 被差別部落に生まれて―石川一雄が語る狭山事件―2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 総ページ数
      275
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000245500
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 『中国学の近代的展開と日中交渉』「竹内好と中国文学研究会のあゆみ」2023

    • 著者名/発表者名
      陶徳民・吾妻重二・永田知之編 該当論文執筆;山田智
    • 総ページ数
      329
    • 出版者
      勉誠社
    • ISBN
      9784585325383
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 内藤湖南研究の最前線  「内藤湖南と〈アジア主義〉の時代」2023

    • 著者名/発表者名
      山田智
    • 総ページ数
      322
    • 出版者
      関西大学出版会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 増補近代部落史―明治から現代まで2023

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり
    • 総ページ数
      319
    • 出版者
      平凡社ライブラリー
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 非部落民の部落問題2022

    • 著者名/発表者名
      黒川みどり 朝治武・内田龍史ほか
    • 総ページ数
      273
    • 出版者
      解放出版社
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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