研究課題/領域番号 |
22K00878
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
綿貫 友子 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40314447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 算(散)用状 / 結解状 / 人件費 / 物品費 / 価格 |
研究開始時の研究の概要 |
11世紀末から17世紀初頭までの期間に作成された算用状・結解状・帳簿類など、収支・決算に関連して作成された日本中世の文書・記録類をもとに、史資料中に計上されている人件費・輸送や調達にかかる物品費を調査、抽出、整理し、具体的数値を明らかにするとともに、時期的、地域的な比較、検討を行うことで日本中世のさまざまな価格(相場)データの充実を図る。また、近年、進展をみた貨幣研究の成果などとの相関を探り、中世経済の実態解明に資する研究を行う。
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研究実績の概要 |
研究課題を検討・追究するうえで、作業の基盤となる11世紀末から17世紀初頭までの期間に作成された算(散)用状・結解状・帳簿類などの収支・決算関連文書や記録類に該当する史・資料を選択、収集し、概要を把握するための基本的な編年台帳作成に向けて作業を継続した。関連史・資料の選択・収集にあたっては、東京大学史料編纂所のデータベース検索https:wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/shipsを主体に、京都府立京都学・歴彩館のデジタルアーカイブなどを併用した。「算(散)用状」「結解状」「算用」「結解」の他、「船賃」「梶取給」「粮料」「酒直」など複数のキーワードをもとに史料を検索し、その内容を確認し、史料名・作成時期・作成者・人件費/物品費にかかる項目と数値・所蔵などを記録し、編年で整理している。申請時には初年次(2022年度)上半期に編年台帳の完成を目指していたが、約1,500通と想定していた以上の該当史料があることが判明し、また、一様ではない記載内容の検討に時間を要したことや、別件(後掲【現在までの進捗状況】)の講演2件と論稿2本の執筆にも時間を割く必要が生じ、年度末で都合700通余の関係史・資料を確認し、収録出来たに止まっている。もっとも、講演の準備をするなかで、中世堺衆が本課題にも関連する大徳寺関連の祠堂銭の運用に関わっていたことを知り、その検討をもとに執筆・投稿した「中世後期の祠堂銭運用について」が『国民経済雑誌』227-3、P43~58、2023年3月に掲載された。また、本課題の関連事項を含む「貿易と戦乱の中世」(中西聡編『日本経済の歴史 列島経済史入門』改訂版第2章、名古屋大学出版会 2023年5月刊行予定)及び「列島を移動する人・物」(高橋典幸編『日本史の現在 中世』山川出版社、2024年4月刊行予定)を執筆、入稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題申請段階には予定していなかった講演2件(シンポジウム「中世の流通と堺」での基調講演「堺をめぐる中世の海運」於堺市博物館 2022年10月8日及び「新宮下本町遺跡」国史跡指定記念シンポジウムでの講演「中世新宮に関わる海上交通と物流」於新宮市文化複合施設丹鶴ホール、2022年12月17日)と論稿2本(「中近世の日本経済を考える」神戸大学経済経営学会編『経済学の歩き方』(2023年度版)2023年3月p.97~102、「列島を移動する人と物」高橋典幸編『日本史研究の現在 中世』山川出版社、2024年4月刊行予定)の依頼があり、その準備や執筆にも時間を割く必要が生じたことや校務の都合もあり、本課題の検討に捻出しうる物理的時間が不足したため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(2022年度)からの継続として11世紀末~17世紀初頭までの期間に作成された算(散)用状・結解状・帳簿類など、収支・決算に関連して作成された文書・記録類に該当する史・資料を選択・収集し、概要を把握するための基本的な編年台帳の作成に向け作業を重ね、2023年度上半期には暫定版を完成させるよう努める。また暫定版についても調査の過程で新たに得られた情報があれば随時、内容を補完・更新し、精度を高める。編年台帳を基本に、個々の史・資料を既刊の史料集での記載内容と対照し、人件費・物品費に関するデータを確認し、個々の史・資料内での意味を考えるとともに、同時期、地域による検討が可能である場合にはその検討を行う。未刊行史料や活字上では十分確認出来ない史料については、東京大学史料編纂所・内閣文庫・京都府立京都学・歴彩館、その他所蔵機関で影写本や複写物などの調査を行いたい。調査の過程で得られた所見をもとに中間報告として、年度下半期に研究会での口頭発表を行い、それをもとに論稿を作成したい。
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