研究課題/領域番号 |
22K00882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
笹部 剛史 (若月剛史) 関西大学, 法学部, 教授 (30625744)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 治水砂防協会 / 赤木正雄 / 西原亀三 / 日本政治史 / 帝国議会 / 河川協会 / 技術官僚 / 行政史 / 砂防 / 砂防協会 / 逓信省 / 日本近現代史 / 利益団体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、昭和戦時期から戦後期にかけて官僚制がどのように地域社会を組織化し浸透していったのか、土木系技術官僚と逓信省に焦点を絞って、明らかにしていくものである。 この時期、官僚制内では地域社会を組織化していく動きが強まるが、そうして結成された団体は戦後の自民党政権を支える利益団体の原型となっていく。また、地域社会が各省庁によって分断的に組織化された結果、官僚制内におけるセクショリズム的対立があらゆるレベルで発現する。 これらの過程を検討することで、戦後における官僚制内における秩序のあり方や、政党と官僚制との間での相互依存関係などが、どのような特徴を有するようになったのか明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度からの砂防系技術官僚に関する研究の成果として、「昭和戦前期における砂防事業拡大の政治過程 : 帝国議会と技術官僚」(『日本政治と自助・共助・公助 (研究双書 第179冊』関西大学経済・政治研究所、2024年)を公表することができた。 同論文では、内務省の土木系技術官僚のなかでは少数派であった赤木正雄ら砂防系の技術官僚が、砂防事業の拡大の必要性を感じていた西原亀三の政治的ネットワークを利用しながら、帝国議会での審議を通じて砂防世論を拡大させていき、戦時下でありながら多額の砂防予算を獲得していく過程を分析した。さらに、赤木ら砂防系の技術官僚が中心となって治水砂防協会が創立されていく経緯について検討を加え、帝国議会の議員を排除して内務官僚と利害関係者だけで役員を固めた河川協会と対比させながら、議員を組織化することに重点を置くという治水砂防協会の組織面での特質を明らかにすることができた。そのうえで、戦後になると、砂防系以外の技術官僚も国会議員との結びつきを強めようとするようになるとの見通しを示した。 また、本研究のもう一つの柱である逓信省については、古書店などを通じて入手した部内資料を収集・分析を行うとともに、国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている逓信官僚の書簡や意見書などについて調査を進めた。 他に、本研究を通じて得られた知見に基づいて、櫻田会編(井上寿一ほか著)『立憲民政党全史』(講談社、2024年)で、第二次若槻礼次郎内閣の性格や民政党の経済・財政政策の特徴について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度からの研究の成果として、砂防系技の術官僚に関する論文を公表することができたうえに、もう一つの研究の柱である逓信省についても、三等郵便局長の組織化に関する史資料を、かなりの程度、収集・分析することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、技術官僚や逓信省に関する史資料の収集・分析を行うとともに、その成果を論文その他の形で公表していきたいと考えている。
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