研究課題/領域番号 |
22K00887
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
山本 祥隆 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (50610804)
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研究分担者 |
山口 欧志 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50508364)
浦 蓉子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (80746553)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 木簡 / 三次元計測 / 自動計測機 / 形態観察表 / 平城宮・京 / 研究資源化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、木簡に三次元計測・解析技術を適用し、木簡の研究資源化のステージを引き上げることにより、木簡研究の新たな地平を拓こうとするものである。 木簡は、その脆弱性ゆえに実物にアクセス可能な機会や研究者が制限されるため、《木簡そのものの研究》は盛況とは言いがたい状況に留まっている。 そこで本研究では、専門を異にする研究者によるチームを結成、共同で木簡の三次元計測・解析手法を確立することにより、実物に近い資料体情報を備えたデータの生成と共有を実現する。それにより学際的な研究の進展を促し、新たな視座に基づく木簡研究の展開を誘発する。あわせて、保存・保管など広義の木簡の調査・研究全般を活性化する。
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研究実績の概要 |
令和5(2023)年度には、主として以下の研究を行い、一定の成果を挙げた。 【①木簡の自動撮影・三次元計測機の開発】 令和4(2022)年度に基本的な構造や仕様の検討、問題点の把握などを行った木簡の自動撮影・三次元計測機の開発に、本格的に着手した。採用する技術等(フォトグラメトリ、ロボタイゼーション技術、回転Gantry構造)を決定し、プロトタイプの試作に至った。その成果を受け、開発パートナーである株式会社GRIPSより令和5(2023)年10月9日にプレスリリースを行った。 (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000057289.html) 【②木簡形態観察表考案のための検討・研究の深化】 令和4(2022)年度に基本的な方向性を定めた木簡形態観察表について、その具現化および実現化を目指して、更に検討・研究を深めた。数回の予備実験や検討会を行い、問題点の抽出や改良の方法を確認した。その成果を踏まえ、令和5(2023)年10月21日の日本文化財科学会において「木簡観察の定型化に向けて」(畑野吉則・山本祥隆・浦蓉子)と題するポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【①木簡の自動撮影・三次元計測機の開発】 令和5(2023)年度は、主として木簡の自動撮影・三次元計測機の開発を行い、プロトタイプの試作にまで到達した。その結果、上記のプレスリリースを行うことができた。ただし、その過程で当初計画では想定していなかった問題点や課題が浮上した。分担者および開発パートナーと検討を重ね、脆弱性遺物を動かさずに三次元計測する上で非常に重要な課題・技術と認識し、当初計画を変更して取り組むこととした。さらに、本技術はフォトグラメトリ分野における革新的な技術であるため、特許の申請も検討している。以上の事由により、当初計画していた機器の実用化までは至らなかった。 【②木簡形態観察表考案のための検討・研究の深化】 令和5(2023)年度は、木簡形態観察表の考案に関する検討・研究を深化させた。研究代表者および研究分担者間で認識の擦り合わせを進め、方向性を確立しえた結果、日本文化財課科学会において上記のポスター発表を行うことができた。ただし、より具体的な観察表の様式や用語の選択等まで確定することはできず、当初計画していた形態観察表の実用化までは至らなかった。 以上のように、本研究は研究計画調書作成時点での見込みよりやや遅滞していると評価したが、新規課題の表出など、ポジティブな要素として認識している。。一方、木簡自動撮影・三次元計測機、および木簡形態観察表ともに実用化まであと一歩のところまで到達しており、今年度以降、積極的かつ効果的な成果の発信が必要であると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初計画に比するとやや遅れている部分があるものの、木簡の自動撮影・三次元計測機、および木簡形態観察表ともに、着実に開発・考案を進めている。令和6(2024)年度以降も、これまでに確立した方向性と研究計画調書に記載の研究方法に依拠しつつ、ひきつづき調査・研究を進めていく予定である。 加えて、木簡の自動撮影・三次元計測機の完成・実用化を見越して、相互に木簡データの授受を行えるよう、令和6(2024)年度には他の木簡所蔵機関とのパートナーシップを深めるための活動を行うことも計画している。
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