研究課題/領域番号 |
22K00895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
東村 純子 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (10465601)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 律令 / 織物 / ジェンダー / 腰機 / 筬 / 女性 / 女性史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古代日本の織物(蚕を素材とする絹・綿、麻を素材とする布)の生産における女性の働きについて、遺跡から出土した紡織具や織物の分析、また正倉院に伝わる繊維製品の墨書銘や出土木簡にみる文字資料の分析により明らかにするものである。さらに、女性名が記された墨書土器や紡錘車(糸に撚りをかける錘)、三女神を祭る宗像沖ノ島の紡織祭祀具を検討対象とし、女性による織物生産と技術継承、祭祀の様相をみていく。
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研究実績の概要 |
本研究は、律令国家が形成される7世紀後半から8世紀の織物生産における女性労働の実態を明らかにすることを目的とし、出土紡織具や織物(蚕を素材とする絹・綿、麻を素材とする布)の分析に即して、生産技術を復元し、出土木簡や墨書土器などの文字資料を踏まえて、各地域の織物生産における女性の役割、米・塩などを含む各生産と祭祀におけるジェンダーの動態を考察していく。 今年度は、日本、及び台湾、東南アジア~南アジア、中南米の民俗(民族)にみる織物の素材や腰機の技術に関する近年の研究動向を確認するとともに、その技術的多様性について学会や講演会等で報告を行い、他の研究者と情報を共有した。 腰機は、腰の動きで経糸の張りを緩めながら、布に織る機である。日本では弥生時代以降に輪状式の無機台腰機の利用が広まるが、経糸を揃え、織り幅を一定に保つための筬が付かない。そのため、古墳時代初めから前期にかけて経地合いの文様を織り出す技法が発達したことを靫の外装等にみる織物の試作により検証した。 一方、筬を付けることのできる直状式の有機台腰機が、7世紀後半~8世紀以降、徐々に普及し、令により規定された調庸布などの織成に対応したと考えられる。その技術的特徴について、前代の無機台腰機と比較するため、前年度に復元した有機台腰機の部材を組み立て、経糸をかけ、開口装置等の調整を行った。 筬(竹筬)については、時期は下るが新たに遺跡での出土例が複数個体確認できたことから、形状や筬羽の密度等の調査を行った。これらの例を踏まえ、広幅の布の織成を実践していく予定である。また、出土木簡にみえる染料に関する文字資料を抽出し、染料の加工や流通について考察を進めた。加工の具体的な方法については、今後、民俗(民族)資料を参考に検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広幅用の有機台腰機の復元による試作実験、検証等、計画に沿って進めている。
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今後の研究の推進方策 |
広幅布の織成の実践と素材別にみた技術復元を行うとともに、調庸関係銘文、及び紡織・繊維製品にかかわる文字資料の集成と検討を進める。
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