研究課題/領域番号 |
22K00901
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
松尾 晋一 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (40453237)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 綱吉政権 / 対馬宗家 / 島津家 / 長崎奉行 / 長崎 / 老中 / 異国船 / 太平天国 / 長崎聞役 / 御用達 / 松平家 / 諫早家 / 幕藩制国家 / 長崎奉行所 / 政治機能 / 聞役 / 大名家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では近世期の都市長崎の政治機能に注目して、長崎における大名家間ネットワークを再考して政治的磁場としての成立過程を解明し、そのうえで長崎が果たした政治機能と幕藩制国家における政治構造の展開との関係を検証するものである。18世紀中葉以降、政治的磁場として長崎が機能した側面の分析を試み、地政学的視点から新たな政治的磁場の成立と幕藩制国家の政治構造の展開との関係を捉え直していくが、これは幕末期の長崎が政治経済的な意味において、江戸、京、大坂に次ぐ重要な位置になりえた前提の解明にも繋がるものと考えている。
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研究実績の概要 |
本年度は、つぎの二点の作業を行った。すなわち、①将軍の名代としての役割と長崎奉行として現地レベルで主体的に果たした役割を意識して、新たな「長崎奉行」像の提示を試みること、②幕末の事例ではあるが、情報集積地としての長崎の状況分析を試みた。 まず①については、綱吉政権が異国船への警戒を大名に求めた際に注目した。この時の対馬宗家、島津家の対応、こと長崎奉行との関係を分析した結果、大名にとって長崎奉行は具体的対応の指示を求める対象であったが、長崎奉行は江戸(老中)との関係から主体的な判断で大名に接したことが明らかとなった(松尾晋一「綱吉政権による異国船対応策と幕藩関係」『九州文化史研究所紀要』67号、2024年)。つまり、老中と長崎奉行を一体と見れない場面があったわけで、長崎が江戸と距離を置いた政治の場として機能したことを裏付けていると理解できよう。 つぎに②については、太平天国の戦況に関する情報に注目した。長崎には対馬、薩摩、そして唐人の漂流民などからも情報が伝わり、その内容は地域も限定されておらず、情報源も多様で実に様々なものであった。長崎に唐船が入港せずとも情報集積が実現していたことを確認できた。また、長崎聞役を通して大名家間で頻繁に情報共有がなされていたことが判明した(松尾晋一「太平天国の戦況と長崎―唐人たちの苦難ー」『東アジア評論』16号、2024年)。長崎に入った情報が江戸と共有されていたかの検証は今後の課題であるが、これらから長崎が政治的磁場として機能していたことが掴める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で予定期限までに終えることができなかった「19世紀中葉の東アジア情勢への日本の政治的反応」(JSPS科研費18K00970)の研究に取り組んだことによる。また、大名家の国元と長崎の御用達との日常における関係の分析に着手できなかったことから、進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
長崎における幕藩関係で重要な役割を担っていたにも拘らず従来全く手が付けられていなかった長崎奉行家老関係資料の収集を継続する。そして、長崎における大名家間ネットワークの実態を長崎奉行所及び都市社会との関係をふまえて分析を試みる。
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