研究課題/領域番号 |
22K00902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 都市江戸 / 都市史 / 個人史 / 勤番武士 / 日記 / 小遣帳 / 園芸 / 近世考古学 / 日本近世史 / 武家地 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の大都市の多くは近世城下町を淵源とする。特に人口・面積ともに大きな割合を占めた武家地を近世城下町の社会や空間において位置づけることは、今日の都市を理解する上できわめて重要である。 本研究では江戸の武家地を対象として、勤番武士(A参勤交代に伴って江戸に滞在する江戸詰、B江戸常駐の定詰藩士)の日記等を検討し、彼らの行動で成り立つ都市社会を明示するとともに、その勤務から都市江戸における各藩の交際や幕藩関係を明らかにする。さらに彼らの行動や意識の検討により、江戸住の町人が発信する江戸像を相対化し、都市江戸像を再構築する。また異文化との接触による個人の成長を描き出し、個人史研究に寄与する。
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研究実績の概要 |
本年度は、①勤番武士の多角的・総合的研究、および②勤番武士の日常の検討にかかわって、2022年度にあげた課題にとりくみ、下記の成果を公表することができた。 (1)調査を実施した臼杵藩について、検討をすすめ、とくに前提となる臼杵藩の屋敷の変遷の復元や、下屋敷の空間復元と居住者、臼杵藩の江戸での役負担について発掘調査報告書の原稿として提出した(なお、担当部分は校了しているが、刊行が遅れている)。(2)久留米藩の研究成果のうち、勤番武士の園芸について、大名庭園、とくに松平定信が勤番武士などにも公開したとされてきた浴恩園の分析と合わせ、日本庭園学会大会で報告し、庭園史研究者の知見や視角を学んだ。関連して、天理大学附属天理図書館所蔵の浴恩園の全図(「感徳録副帖 浴恩園真写之図」)も調査した。(3)さらに久留米藩の研究成果としては、勤番武士の行動や、勤番武士の生活を支えた零細な屋敷出入町人について、論文集に研究論文を執筆した(2024年6月刊行予定)。(4)武家屋敷に味噌をおさめていた松坂の出入商人の帳簿を分析し、深川にあった店舗における生産・流通・消費について、論文集にて論考を公表した。 さらに上記以外で、臼杵藩上屋敷に隣接する久保町(現在の東京都港区西新橋辺)周辺を対象として、新たに存在がわかった津に本店をおく武家屋敷の出入商人の史料、旗本屋敷と旗本知行地(仁賀保家文書、神奈川県立文書館所蔵文書、千葉県文書館所蔵文書ほか)、寺社地(仏法紹隆寺所蔵文書<現長野県諏訪市>ほか)、町屋敷所持者(栃木県立文書館所蔵石井家文書)、百姓宿関係史料(群馬県立文書館所蔵天田家文書)を調査・分析し、勤番武士も含めて、諸身分の交点という視角から学会で報告し、自身の編著である論文集の一篇として論考を公表した。 このほか、課題とした庄内藩士の史料調査も実施し、八戸藩士の小遣帳の分析も進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度にあげた課題のうち、とくに計画していた学会報告1件および活字論文3本の公表を実現できた。これに加え、調査・分析が順調にすすんだことから、口頭報告を行った上で、予定よりも早く活字論文1本を別途公表することができた。 ただし、八戸藩の小遣帳については分析はすすめたものの、他執筆者との関係もあり、論文集・史料集刊行に至らなかった。また、鳥取藩・岡山藩の史料調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度に日本庭園学会大会で報告した大名庭園について、勤番武士などへの公開という点を批判的に検証し、活字論文として公表する。また、八戸藩士の小遣帳のデータ集積・分析をとりまとめるととともに、武家等が愛玩した狆の育成の新出マニュアルの分析をすすめ、これらの公表をはかる。 さらに、上記分析の進捗状況により、庄内藩関係史料の継続調査をすすめるとともに、当初予定していた鳥取藩・岡山藩関係の史料について予備調査を実施する。また、弘前藩定府関係資料の調査の実施・分析も検討する。 2025年度以降については、[2025年度]飯田藩の定府関係史料の調査の実施・分析、[2026年度]補足調査を実施・分析を基本として調査・研究をすすめ、成果については学術報告、論文によって適宜公表していく予定であるが、進捗状況によっては変更を検討する。
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