研究課題/領域番号 |
22K00913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
土口 史記 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70636787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 郡 / 内史 / 岳麓秦簡 / 秦律令 / 簡牘 / 秦漢時代 / 里耶秦簡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、最新の法制史料たる岳麓秦簡「秦律令」等の新出簡牘資料を駆使し、秦漢統一帝国の地方統治を担った上級行政単位である「郡」制の実態解明を目指す。主な論点として、まずは秦・漢初における郡守府の職掌を検討対象とし、関係諸官との分掌体制、郡から県に対する監督の具体的内容、行政サイクルの実態といった諸側面を明らかにする。次に前漢中期以降に続く「郡」制の歴史的沿革を検討対象とし、職掌変化や組織規模の推移といった面を明らかにする。さらには制度論の応用として、簡牘とその所有者の官職にも注目し、史料論の面にも踏み込みたい。
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研究実績の概要 |
本年度は、秦・前漢初における「郡」の職掌解明を目指して、この時期の重要史料たる岳麓秦簡「秦律令」(湖南大学が所蔵する秦代の竹簡、統一秦の前後の時期の律令が書き記されている)の解読を進めた。 戦国時代から統一秦にかけては、「内史」という官が首都圏(おおむね関中盆地に相当)の行政長官であったが、秦が統一戦争の過程でその領域を拡大するにつれて、内史の行政職掌は郡守へと委譲・分割されていく。その過程に関する研究成果の一部を、2022年5月14日にハイデルベルク大学で開催された国際ワークショップにおいて、Territorial Expansion and Institutional Reform in the Warring States, Qin and Early Han period と題して口頭発表(オンライン参加)を行った。 郡守の職掌を解明するには、これと同格かつ継承関係にあると見られる官である「内史」の特質について明らかにする必要があるため、さらに戦国・秦・漢初の内史について検討を進めた。その成果の一部は、2022年8月31日に台湾・中央研究院歴史語言研究所で開催された国際ワークショップにおいて、「戦国到漢初“内史”問題補論」と題して口頭発表(オンライン参加)を行った。また本発表をもとにした論考が『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』55号に掲載された。 以上の研究を通じて、統一秦においては内史・郡守がそれぞれ首都圏・郡地域の行政長官として相似た職掌を有すること、それが戦国以来の秦の領域拡大という歴史過程の産物であることを明らかにした。一方、内史と郡守の職掌には相違部分もあり、とりわけ司法権については内史のそれが漢初までに失われ、このことが中央官制の変動に結びついている可能性を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2件の国際ワークショップに参加し、いずれもコロナ禍のためオンライン参加ではあったものの、国際的な場での研究発信・交流を継続して行うことができた。うち1件は年度内に活字化し、そこにはワークショップの場で海外研究者から受けた教示を踏まえた内容を盛り込むこともできた。以上の点に鑑み、順調に研究が進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
郡守の職掌解明のためにはその前身となっている内史の検討が有効かつ重要であることを本年度の研究を通じて確認できた。このことは史料調査を進めた結果として新たに認識できたことであり、研究の進展を示すものであると同時に、今後の研究の方向性にも影響を与えると予想している。本研究の主要な史料となる岳麓秦簡の報告書が今年度に全て出版され、「秦律令」の全貌が判明したため、次年度以降も引き続きその解読を進める必要がある。既に、郡級の行政単位に対しては「令」によって様々な規定がなされている部分が多いということを初歩的に確認している。以上の点を踏まえつつ、今後は「郡」(同級の行政単位である内史をも含む)がいかにして下級行政単位を監督していたのかという観点から史料分析を進める予定である。
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