研究課題/領域番号 |
22K00921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
三津間 康幸 関西学院大学, 文学部, 准教授 (00568280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | バビロン天文日誌 / アッカド語 / 新バビロニア / 楔形文字 / バビロン / バビロニア年代誌 / 食料危機 / 疫病 / 前108/107年 / 人骨 / ミイラ / 古病理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、前1千年紀の西アジアにおける疫病の実態を楔形文字史料の詳細な分析から明らかにするだけではなく、西アジア、エジプト、ギリシア、ローマ帝国支配地域から得られる諸言語史料や、西アジア、北アフリカ (エジプト) 地域から出土した人骨やミイラに見られる古病理学的データを活用して、前1千年紀の人間と疫病との関わりを総合的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
アッカド語楔形文字史料『バビロン天文日誌』やその関連史料の分析から新バビロニア時代以降の食糧危機を分析した論文「『バビロン天文日誌』及びその関連史料に見る, 新バビロニア時代以降の食料危機」が刊行された。この論文では『日誌』やその関連史料に表れる食糧危機の事例48例を抽出して表にまとめ、個々の事例を分析した。社会危機、食糧危機は政治的な大変動以外の時期にも発生し、天候や外敵だけではなく支配勢力や社会そのものの問題としてとらえなければならないことを述べ、地域外での戦争によっても社会が圧迫されることを明らかにした。 また、前2世紀末のバビロニアにおける衛生危機、社会危機を分析した論文 'Health and Social Crises in 108/107 BC as Recorded in the Late Babylonian Astronomical Diaries' が、第67回国際アッシリア学会のプロシーディングスにおいて刊行された。この論文では、紀元前108/107年に起こった危機が同年の経済状況悪化の原因ともなり、さらに衛生危機が前106/105年まで長引き、当時バビロニアを支配していたアルシャク朝の経済的苦境とも関係した可能性があることを論じた。 また歴史学の理論一般について、小田中直樹『歴史学のトリセツ』の書評において論じた。さらにアウトリーチ的活動として、実在の古代アッシリアの学者ナブ・アヘ・エリバを主人公とした小説、中島敦「文字禍」の編集過程と舞台設定の一環としての年代設定について論じた論文を英訳、増補して刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に1千年紀後半のバビロニアの衛生危機、社会危機、食料危機などについての一定の分析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
アッシリアのエポニム・クロニクルやバビロニア年代誌ABC 1の記述から、前9世紀終わりから前8世紀のアッシリアは度々疫病に見舞われたことがわかっている。この疫病の原因については、西方に遠征したアッシリア軍兵士が罹患したとの説が提出されているが、こうした仮説を支える根拠はあまり強くはない。当時のアッシリア本国には疫病の痕跡は残っていないのか、文献史料を分析して検討を進めるとともに、アッシリアの都ニムルドやシリア、メソポタミアの遺跡から出土した人骨等の遺物を分析して、疫病の影響が遺物に見られるかどうかを分析する。
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