研究課題/領域番号 |
22K00929
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
戸川 貴行 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60552255)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 周礼 / 元徽三年の儀注 / 南斉明帝 / 傍系即位 |
研究開始時の研究の概要 |
『周礼』には音楽に関わる官僚について記した箇所があり、そこに儀礼音楽の曲名や、儀礼音楽を演奏すべき場面などが細かく書かれている。その箇所は、南朝梁の時代には地方音楽をあたかも伝統的な儀礼音楽であるかのように見せるときに使われた。本研究はこの知見を梁だけでなく、前後の時代にも押し広げ、漢から唐において『周礼』が儀礼音楽の形成にどのような役割を果たしたのかを解明しようとするものである。
|
研究実績の概要 |
本研究は中国古代において、もともと中国の地方・周辺の音楽に過ぎなかったものが、どのように中国王朝の「伝統文化」へと変容していったのかを『周礼』という儒教経典に注目して明らかにすることにある。 以上の内容に沿って、研究の2年目である2023年度は、なぜ南北朝において儒教経典のなかでも、特に『周礼』が重視されたのかを解明する作業に入った。 論文については、「The I-chu of 475 in the Liu Sung Dynasty: A Reconstruction of the History of the Southern Dynasties as Seen from Monographs on Rites and Music」(『Transactions of the International Conference of Eastern Studies』第67冊、2024年1月)を発表し、儀礼音楽における『周礼』採用に先立つ、元徽三年(475)の儀注の重要性について論じた。具体的にいうと、中国南朝(420~589)における『周礼』の採用は、まず儀礼音楽の骨格となる元徽三年の儀注が完成し、その上で梁武帝によって『周礼』採用がなされたことを述べた。上記は、第67回国際東方学者会議(2023年5月20日、於日本教育会館。SYMPOSIUM VI 「志」からみた漢唐間の政治文化)において行った報告を発展させ、論文化したものである。 さらに、元徽三年の儀注について『隋書』に記載がある一方、『宋書』、『南斉書』に全く言及がない点を掘り下げ、「元徽三年の儀注と『宋書』・『南斉書』の関係について」(『お茶の水史学』第67号、2024年掲載決定済)を刊行予定である。これらはいずれも本研究課題に発展させることができる成果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度も、一応の全体的見通しにもとづく成果をあげることができた。また、元徽三年の儀注を掘り下げることで、南朝の政治史までを視野に入れた新たな見通しを得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度も論文等を通じて、従来あまり注目されることのなかった中国における儀礼音楽史の意義を発信し、これからの東アジア史の核となる研究になるように考察を進めていく。また、元徽三年の儀注から政治史との関連も見えてきたので、今後さらに掘り下げてみたい。
|