研究課題/領域番号 |
22K00931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
酒井 裕美 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (80547563)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 開港期 / 日朝関係 / 日朝通漁章程 / 漁税 / 統理交渉通商事務衙門 / 漁業史 / 山田荒治 / 朝鮮史 / 外交史 / 漁業 / 条約 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の研究における開港期の日朝関係の捉え方は、日本による植民地化/強制占領の前史として、近代化で先行する日本の積極策に、旧態依然とした朝鮮は受動的にならざるを得なかったという構図によるものであった。しかしこのような枠組みは、1880年代の朝鮮外交が、西欧国際法的発想を超越した次元で、独自の構想と意図に基づいて戦略的に展開されており、明治日本の外交はこれに実は振り回されていたという史実を不可視化してしまう。本研究は、1880年代における日朝漁業問題をめぐる具体的な外交交渉を、従来活用されてこなかった未刊行史料を通して詳細に跡づけることで、これまで不可視化されてきた実態を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
昨年度に作業中であった、1887年に発生した山田荒治事件についての研究論文二本を、最終調整を経て刊行した(詳細は「研究発表」参照)。 山田荒治事件とは、一八八七年の夏から秋にかけて、統理交渉通商事務衙門に雇用された日本人徴税人・山田荒治が、朝鮮南海に出漁した日本漁民に対して徴税活動を行ったことが、日朝間で外交問題化したものである。この事件は、これまで詳細に検討されたことがなかったが、申請者は、日本外務省記録に残されている簿冊「朝鮮政府雇山田荒治該政府発給漁税節目ヲ以テ我漁船ニ対シ徴税一件」や、奎章閣韓国学研究所所蔵の「全羅慶尚諸島諸税収捧節目」原本の分析を通して、事件に関する朝鮮外交の具体的な展開―特に山田雇用の経緯と計画、事件発覚後の対日外交交渉―を跡づけた。二つの論稿を通して、開港期朝鮮の対日外交を、独自の構想、戦略に基づくものとして再構成することができたと思う。 次なる論証課題としては、日本漁民からの漁税徴収を朝鮮側で担当した機構の実態解明が喫緊である。そのため、2023年8月、2024年3月に韓国を訪問し、まずは関連史資料の収集をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国の研究機関は積極的に史料のオンライン公開をすすめているが、本研究課題に関連する史料は、未整理に含まれている部分が多く、発見作業に計画より時間がかかっている。
本研究課題と異なる著作の翻訳作業が入ってしまい(2024年夏頃刊行予定)、そちらに時間をとられたこともある。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度収集した史資料の分析をすすめ、本年度中に、以下の二論文をまとめる。
①山田事件以後、朝鮮政府における日本漁民漁税徴収制度整備過程(仁川海面暫行捕漁額限規(1888.4)、總税務司メリルの漁税年納提案を主論点とする)
②日本漁民漁税徴収実態の事例研究(1890年代前半が中心になるが、実際に徴税を担当した「査検官」の事例を跡づける)
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