研究課題/領域番号 |
22K00932
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
早瀬 晋三 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20183915)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 海洋漁業 / 南シナ海 / 戦前期東南アジア在住日本人 / 『南洋日日新聞』 / 海運 / 領有権問題 / 東シナ海 / 海外在住日本人 |
研究開始時の研究の概要 |
東シナ海、南シナ海ともに、中国が強硬な姿勢を示し、とくに険悪化してから10年が経ち、国際法(海洋法)、国際関係論(安全保障)などの分野で本格的な議論に発展し、学術的な成果も現れてきたが、問題解決へと向かっていない。解決のためには、東・南シナ海を周辺住民がともに利用する「コモンズの海」として、地域、人類共通の利益を考え、それが国益にも通ずることを示す必要がある。そのために、まず、海洋漁業、海運、環境保護などの観点からの基礎研究をおこなう。
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研究実績の概要 |
東シナ海、南シナ海での漁業活動については、まず戦前の日本人漁民の活動について把握する必要がある。明治期から戦略的にマニラ湾で漁業活動をおこなってきた日本人を、フィリピン在住日本人社会に位置づけるため、戦前期フィリピン在住日本人職業別人口にかんする資料の整理をおこない、『戦前期フィリピン在住日本人職業別人口の総合的研究』(早稲田大学アジア太平洋研究センター研究資料シリーズ第10号、2024年3月、242+455頁)を発行した。 つぎに、シンガポールを拠点に漁業活動をおこなった日本人を把握するために、1914-41年にシンガポールで発行された日刊日本語新聞『南洋日日新聞』の目録作成に取りかかった。早稲田大学所蔵のものは、とくに初期のものに欠号が多く、それを補うためオーストラリア国立図書館所蔵のものからダウンロードした。利用するにあたっての覚書として、「『南洋日日新聞』(シンガポール、1914-41年)を読むための覚書」『アジア太平洋討究』(第48号、2024年3月、1-66頁)を出版した。今後、収集した雑誌『南洋時代』(1930-33年)など、戦前にシンガポールで発行された文献を利用しながら、『南洋日日新聞』を読んでいく。 『復刻版 南洋協会発行雑誌-『会報』・『南洋協会々報』・『南洋協会雑誌』・『南洋』-』第1期(大正期)全12巻(龍溪書舎、2021年4月~23年1月)、第2期(昭和期)電子版(龍溪書舎、2023年12月)+『南洋協会発行雑誌(『会報』・『南洋協会々報』・『南洋協会雑誌』・『南洋』1915~44年) 解説・総目録・索引(執筆者・人名・地名・事項)』(龍溪書舎、2018年1月)全2巻は、最後となった昭和期の復刻版を電子版で出版した。 日本から出漁した漁民の多い和歌山県立図書館・市民図書館、下関市立図書館などで郷土資料を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マニラ湾を拠点にした戦前の日本人漁民の活動だけでなく、フィリピン全土で漁業活動に従事していた日本人の基礎的データが得られた。さらに、シンガポールを拠点としたものについても、『南洋日日新聞』および戦前にシンガポールで発行された日本人関連の資料を収集したことで、基本的なデータを収集する準備は整った。 日本から出漁した漁民については、九州、四国、中国地方などからのものが多く、県立図書館や市立図書館に残されている出漁記録や体験談を探しているが、大洋漁業や日露漁業のような会社組織の記録は残っていても、個人のものはあまり残されていない。今後、きめ細かく調査をしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
『南洋日日新聞』および戦前にシンガポールで発行された日本人関連の資料を読んで、考察を進める準備をする。 長崎など、東南アジアに出漁した漁民の出身地の図書館で、郷土資料を丁寧に調査し、漁民の社会史的考察を深めていく。 ともにかなりの時間を要する。
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