研究課題/領域番号 |
22K00940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井内 太郎 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (50193537)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 船上文化 / 大航海 / ギニア航海 / 遺言書 / 船員 / ロンドン / 貿易商人社会 / 大航海時代 / イングランド / 海事共同体 / サブ・カルチャ / アルマダ / 私掠 / 船上経済 / 16世紀 / 海事史 / 船乗り |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、こうした研究動向を踏まえながら、エリザベス時代の海事史(Maritime History)について、当時の船乗り(seamen)に関わる史料を読み解き、彼らに語らせながら彼らの「生きられた経験」を明らかにし、従来のように「ナショナルな、そして強いイギリスの英雄的物語」ではなく、そうしたナショナルな物語に回収しきれず、命を落としても誰も記録・記憶にとどめることのない無数の船乗りの多様な姿やアイデンティティを掘り起こし、いわば「不安定で弱いイギリス」の実態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、16世紀の大航海に関わったイングランドの船員たちの船上文化について、以下の3点から研究を行い、いずれも単著論文として公開した。(1) 船乗りたちが作成した遺言書の金銭取引に関する部分に注目し、彼らの財産の殆どは、航海に関わる報酬であったこと、彼らの財産の遺贈の大部分が、船員間の貸し借りを相殺するものであったこと、さらに船上では掛け売りに基づく活発な経済活動が展開されていたことを明らかにした。(2) W.ブラウンが1553年のギニア航海で作成した遺言書と、この時の様子を海事高等裁判所で証言した船員の語りから、船内において遺言書が作成される際の文化的・空間的構造を明らかにした。(3) 16世紀後半にイングランドから3度にわたりギニア航海に船長として赴いたW.タワソンの航海日誌をもとにギニア航海の実態について、またその後タワソンがロンドンの貿易商人として有力な地位を築いていく過程から当時のロンドン貿易商の社会について明らかにした。 学会報告についてはまず2023年7月1日(土) に中国四国歴史学地理学協会大会(広島大学) で、招待講演として「大航海時代イングランドの船乗りの社会史~その虚像と実像~」と題して講演を行い、学会報告ではまず2023年5月24日(土)に 三田史学会大会西洋史部会(慶應義塾大学)において「16世紀後半期イングランドのギニア交易~W.タワソンの「航海日誌」からみる航海・交易・貿易商人社会~」、2023年8月5日(土) に広島西洋史学研究会大会(広島大学)において「16世紀イングランドの大航海時代と船員の語り~W.ブラウンの船上遺言書を手がかりとして~」と題して報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 史資料の渉猟の進捗状況 英国医の公文書館において、本研究課題に関する関連し資料をほぼデジタルカメラに保存し、現在そのデータベース化を行っている。 (2) 学会発表 2023年5月24日(土) 三田史学会大会西洋史部会(慶應義塾大学);2023年7月1日(土) 中国四国歴史学地理学協会大会 講演会(広島大学) ;2023年8月5日(土) 広島西洋史学研究会大会(広島大学) (3) 研究成果 「16世紀イングランドの船員たちと船上文化~かれらの経済活動の分析を中心として~」『史學研究』315号、2023年6月、26~43頁;「16世紀イングランドの大航海時代と船員の語り~ W. ブラウンの船上遺言書を手がかりとして~」『史學研究』316号、2023年9月、1~22頁;「16世紀後半期イングランドのギニア交易~W.タワソンの「航海日誌」からみる航海・交易・貿易商人社会~」『西洋史学報』50号、2023年11月、153~172頁;「大航海時代イングランドの船乗りの社会史~その虚像と実像~」『中国四国歴史学地理学協会協会年俸』第19号、1~12頁。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 史資料の渉猟については、英国公文書館で海事高等裁判所の証言記録を調べる。 (2) 本研究課題にもかかわる論文集の編者として、編集作業を行い2024年度に出版する。 (3) 学会報告は、中国四国歴史学地理学協会大会、広島西洋史学研究会大会と九州史学会において、研究成果の報告を行う予定である。
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