研究課題/領域番号 |
22K00947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
加藤 玄 日本女子大学, 文学部, 教授 (00431883)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | デジタル・ヒストリー / 中世フランス / 中世イングランド / 百年戦争 / ジャンヌ・ダルク / 中世 / フランス / 政治社会 / デジタルヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究は、百年戦争前期にあたる14世紀の英仏両王家の関係を背景として、プランタジネット家領ギュイエンヌにおける君主と住民間の交渉の際に使用された言説をデジタルヒストリーの手法を用いて分析し、同地域の政治社会の性格を検討する。政治史の復権、政治言説・関係史への着目、デジタルヒストリーの手法の利用といった近年の研究動向を踏まえ、統治者であるイングランド王(アキテーヌ公)と、それに対峙する被統治者としてのギュイエンヌ社会の政治的諸関係を総合的に把握するとともに、上訴・請願・三部会の設置など様々な機会において、君主と住民間のコミュニケーションで双方が使用した政治言説の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は研究初年度であるため、当初の計画に基づき、機器や分析用のソフトおよび文献の購入など研究環境の整備を図るとともに、以下の4点に集約される研究を行った。 第1に、国内外のデジタル・ヒストリーの研究動向と研究手法の整理を行った。その過程でデジタル・ヒューマニティーズというより広い文脈への位置づけとテキストデータ分析の手法への技術的習熟の必要性が認識された。 第2に、イングランド王=アキテーヌ公とアキテーヌ公領の家臣との間で封建的主従関係の相互確認ために13世紀後半に作成された文書である「Recogniciones feodorum in Aquitania」のデータを基に史料コーパスを作成した。 第3に、イングランド王とギュイエンヌの都市サン・テミリオンの関係を辿り、ジョン王の統治期に同市が自治特権を獲得した背景、およびエドワード1世の統治期に裁判管轄圏(juridiction)を認められた経緯とその地理的範囲を明らかにした。この成果の一部は、「サン=テミリオンとシャトーの歴史」(『テロワール: ワインと茶をめぐる歴史・空間・流通』昭和堂、所収)として公表した。 第4に、百年戦争の経緯を辿るとともに、イングランド王とフランス王の双方から発せられた政治言説を、ジャンヌ・ダルクをめぐる両者の思惑に焦点を当てる形で明らかにした。この成果の一部は、『ジャンヌ・ダルクと百年戦争: 時空をこえて語り継がれる乙女 (世界史リブレット人 032) 』(山川出版社)として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デジタル・ヒストリー研究の進展およびデジタル・ヒューマニティーズというより広い文脈への位置づけの必要性から、参照すべき先行研究の分量が想定より増大しているため、先行研究の整理が当初の予定よりも時間を要している。 また、デジタル・ヒストリーの分析に適合する形式での史料コーパスの作成作業に時間を要し、当初の予定であったガスコン・ロール(ギュイエンヌ関連行政文書)の史料コーパスの作成が未完了である。
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今後の研究の推進方策 |
第一は、ガスコン・ロール(ギュイエンヌ関連行政文書)の史料コーパスの作成を完了させる。 第二に、1360年のブレティニー=カレー条約締結によってアキテーヌ大公領が成立するまでギュイエンヌ社会における統治者と被統治者間の主要な対話の回路であったイングランド王家の支配領域内における統治者と被統治者間のコミュニケーションの一形態であった請願の史料コーパスを作成する。 第三に、1364年に創設されたギュイエンヌ三部会における政治言説を分析の対象とする。 以上の史料コーパスの作成作業を補助する人員を確保する予定である。
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