研究課題/領域番号 |
22K00952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 京都女子大学 (2023) 大手前大学 (2022) |
研究代表者 |
西岡 健司 京都女子大学, 文学部, 准教授 (70580439)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | スコットランド史 / 中世史 / 教会史 / 管区 / 共同体 / スコットランド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、12~13世紀のスコットランドにおける教会管区(provincia)に関して、制度的組織の側面ではなく、教会人の人的紐帯の観点から、その統合過程を分析するものである。当時のスコットランドは、王国共同体意識の涵養と単一のネイション形成が進む時期にあたるが、従来の研究では、そのプロセスの理解において一つの鍵となる「教会人の共同体」に関する考察が十分になされていない。そこで本研究では、スコットランド管区における(高位の)教会人たちの行動歴を丹念に調査し、彼らの相互交流の実態を分析することで、人的ネットワークによってひとつに結ばれる「教会人の共同体」が成立するプロセスを具体的に解明していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度からの継続的な作業として、叙述史料にあらわれる教会人の動向に関する記述を抽出して内容の整理を進める一方で、文書史料(主としてカーチュラリの複写を含む広義の証書史料)の分析を開始した。 叙述史料の場合は言及される教会人の範囲が限定的であるため、基本的に網羅的な情報収集を試みたが、証書史料にはあらゆる階層の教会人が登場するため、基本的には役職つきの教会人に対象を限定して分析をおこなう。まずは、D.E.R. Wattが編集したFasti Ecclesiae Scoticanae Medii Aevi Ad 1638 (Edinburgh, 2003)や、Heads of Religious Houses in Scotland from Twelfth to Sixteenth Centuries (Edinburgh, 2001)、およびPoms(People of Medieval Scotland, 1093-1371)のデータベースなどを使用して、スコットランド管区内の教会・修道院毎に対象となる人物の情報一覧を作成すると同時に、調査すべき史料の割り出しをおこなった。 前年の「推進方策」に記したとおり、管区全体のデータの量的分析と、情報量の豊富な人物のモデルケースの質的分析を総合して最終的な結論を得る予定であり、本年度は、管区内で中心的な位置づけにあるセント・アンドリューズ司教区とグラスゴー司教区の人物から史料の分析を開始した。 なお、史料の一部はスコットランドに赴いて調査する必要があるが、昨年度は新型コロナ感染症や予算の問題で渡航を控えざるを得なかった。今年度は夏季にスコットランド国立図書館と国立文書館での調査を開始して、史料の収集を着実に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は海外調査を実施できているが、昨年度に渡航を控えた影響で生じた史料収集の遅れを完全に取り戻すには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、セント・アンドリューズ司教区とグラスゴー司教区から開始した、証書史料からの教会人の動向に関する情報抽出の作業を、他の司教区についても順次遂行していく。 海外収蔵の史料調査に関しては、来年度も夏季に渡英調査をおこなって着実に収集を進める。 史料の収集・分析と同時に、教会人の人的関係構築過程の解明作業にも具体的に着手していくことになるが、まずは量的分析に関して、比較的情報の整理の容易な証人リストを基にした検討から始める予定である。証書に記された法的行為と証人リストの情報を収集・整理しながら、教会人が証人としての役割を果たすことで形成される人的関係の実態を明らかにしていく。
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