研究課題/領域番号 |
22K00955
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
久米 順子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60570645)
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研究分担者 |
押尾 高志 西南学院大学, 国際文化学部, 講師 (40869088)
黒田 祐我 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (50581823)
瀧本 佳容子 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (70306869)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アルフォンソ10世賢王 / 中世イベリア / 多文化共生 / 宗教的寛容 / ムデハル / 俗語 / 写本 / アルフォンソ10世 / 中世史 / イベリア世界 / カスティーリャ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、13世紀のカスティーリャ王アルフォンソ10世を対象とする学際的中世研究である。同王は、キリスト教、イスラーム、ユダヤ教を統べる「三宗教の王」や「賢王」と の別名で知られるが、その実像は未だ詳らかになっていない。そこで本研究では、専門分野を異にする4名の研究者が多言語の史資料を活用し、同王の対異教徒政策および彼が促進した文学・美術における異教徒描写を検討して、中世イベリア世界の多文化共生の実態に迫りたい。
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研究実績の概要 |
本研究計画の研究対象は、キリスト教、イスラーム、ユダヤ教を統べる「三宗教の王」や「賢王」といった別名で知られている、13世紀のカスティーリャ王アルフォンソ10世である。同王の対異教徒政策および彼が促進した文学・美術における異教徒描写を検討し、中世イベリア世界の多文化共生の実態を解明しようとすることが研究目的となる。 学芸全般に深い関心を抱いていたアルフォンソ10世は、多様なジャンルの写本を編纂させたことで知られている。そうした写本のうちの重要な一冊である『チェス、さいころ、盤上ゲームの書』のファクシミリ版を、慶應義塾図書館が、管見の限り日本の図書館で初めて所蔵することとなった。これは研究分担者である瀧本の尽力によるものである。同図書館は、すでに、別のアルフォンソ10世写本である『聖母マリアの古謡集』のファクシミリ版も所蔵していたため、これら二作品の解説をまとめ、慶應義塾大学日吉紀要に共著論文として投稿した。これが本年度のもっとも重要な研究実績である。この論文では、本科研プロジェクトのメンバーに加えて、イスラーム美術史家である鎌田由美子氏の参加を仰いだ。各自が自分の専門分野に即した一章を担当する形で、アルフォンソ10世の生涯、彼の治世下のカスティーリャ王国とイスラーム諸国を含めた周辺国の状況、これらの写本に関する基本情報、その内容や意義、装飾や挿絵の美術史上の特徴などを簡潔にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の1年目となる今年度は、まだコロナ禍が収束したとは言えない状況であったため、主にオンラインでのミーティングおよびメールでのやり取りで情報交換を行いつつ、各自が研究に必要な史料の入手に励んだ。それでも7月30日には、科研メンバーが慶應義塾大学三田メディアセンターに一堂に会して、アルフォンソ10世写本『チェス、さいころ、盤上ゲームの書』『聖母マリアの古謡集』のファクシミリ版をともに実見することができた。文献学、西洋史、イスラーム史、美術史とメンバーの専門分野が違うため、同じ写本を見ても着目点がそれぞれに異なり、マスク越しの対話が尽きぬ貴重な調査となった。その成果は、共著論文に十分に反映させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画を策定した時点で、メンバーの各々が考えていたアルフォンソ10世の対異教徒政策や、文学・美術における異教徒描写などの検討に関しては、それぞれに研究を着手してはいるものの、まだその内容を共有し、検討するには至っていない。そのため、今年度もメールやオンライン・ミーティングに加えて、対面での研究会を必ず行う予定である。また、今年度末には、アルフォンソ10世写本のファクシミリ版を擁する慶應義塾図書館にて、これらの写本を中心とした展示会を開催できる運びとなった。学生ならびに一般の方に、アルフォンソ10世研究の魅力を伝えるまたとない機会であるため、本研究課題の成果の一端を分かりやすく伝えられるようにメンバー間で協働して工夫を凝らしたいと考えている。
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