研究課題/領域番号 |
22K00974
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
舟橋 京子 (石川京子) 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80617879)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 古墳時代 / 葬送儀礼 / 断体儀礼 / 改葬 / 人骨 / 服喪抜歯 / 葬送行為 / 出土状況 |
研究開始時の研究の概要 |
「改葬」(いったん埋葬した遺体を後に掘り起こすこと:土井・佐藤1979)行為は世界各地において様々な事例が報告されている。本研究では、これまで正確な古人骨の出土状況の読み取りが行われていない日本列島古墳時代の改葬行為について、埋葬施設等の墓地分析及び人骨の出土状況・人骨所見から改葬行為を抽出・評価する。加えて、改葬のみを扱うのではなく、殯・断体儀礼など人骨の出土状況を含む考古学的情報から明らかにしうる葬送儀礼全体における位置づけを明らかにすることで、葬送儀礼及び改葬行為の時間的・空間的変容と列島国家形成期前段階の社会におけるその意味を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、埋葬主体と人骨の出土状況及び人骨そのものの検討から、葬送行為総体から見た「改葬」の実態を明らかにし、その盛行と背景にある社会的要因を明らかにすることである。2年目は引き続き、九州・山陰および関西・関東の人骨出土遺跡の報告書を収集し、特に関東地方の古墳における人骨出土状況の情報を収集した。その結果、人骨の出土状況を含む考古学的情報から明らかにしうる断体儀礼及び改葬行為の変容過程を明らかにした。なかでも改葬行為に関しては、古墳時代後期に盛行する複数個体を取り扱った改葬と古墳時代の初めから連綿と続く単体の改葬行為を弁別すべきであること、加えて前者に関しては、部民制の施行、既存の親族集団の統合・分断に対する、非日常の場での本来の親族集団のアイデンティティの再確認である可能性を指摘した。また、先行研究で家長・首長層の父系化が明瞭な北部九州から西日本の同じ葬送儀礼においても、家長・首長層の父系・男系への固定と時を同じくして衰退していく服喪抜歯風習とは異なり、断体儀礼及び改葬行為は父系化後も連綿と続くことから、前者が服喪と表裏一帯の家長兼継承という生者のための儀礼であるのに対し、断体儀礼は死者に詩を確認させる行為であり、複数個体にわたる改葬は親族集団のアイデンティティの確認行為であることから、これらの行為が上位層・家長層の父系化と連動しない可能性を考えた。研究の成果に関しては一部をまとめ、「第2章 儀礼と親族関係」『市民の考古学 18 古墳時代の親族と地域社会』(2024年 同成社) として出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各市町村教育委員会から刊行されている報告書に基づき葬送行為に関する情報収集がおおむね計画通り進んでいるため。 ただし、人骨の出土状況から断体儀礼の可能性を指摘しうるような事例の人骨資料そのものの確認にまで至っていないことから、当初御計画以上に進展しているとは言えない。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き報告書を精査し、断体儀礼および改葬行為に関する事例を収集するとともに、時期・地域に関する分析を行う。加えて、断体儀礼と推定される事例の人骨そのものを確認し断体対象部位の観察を行う。後半には1年目からの成果をまとめて論文化を行う。
|