研究課題/領域番号 |
22K00993
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 北海道博物館 |
研究代表者 |
大坂 拓 北海道博物館, アイヌ民族文化研究センター, 学芸主査 (60761658)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | アイヌ / 物質文化 / 民具 / 漆器 / 考古学的手法 |
研究開始時の研究の概要 |
アイヌ民族の民具資料については、これまで、背景情報の欠如などが強調され、地域差・年代差といった基礎的な事実の整理が十分に進んでこなかった。本研究代表者は近年、資料の網羅的な集成を基礎として、アイヌ民族が自製した品目について製作技術や素材に着目した分析をおこない、従来は知られてこなかった地域差・年代差を明らかにし得ることを示してきた。本研究では、和人社会からの移入品である漆器を分析対象として、各器種の変遷過程、産地との対応関係を整理することにより、従来漠然と語られてきたアイヌ社会と和人社会の「交流」の実態を具体的に明らかにする。
|
研究実績の概要 |
博物館等に収蔵されているアイヌの物質文化資料は自製品と移入品に分けられ、そのうち移入品の大部分を漆器が占めているが、これまでは基礎的な研究が不足していたため、漠然と和人社会との「交流」を物語る物証として扱われるにとどまってきた。本研究は、アイヌが使用した漆器類を分類し、それぞれの年代学的位置付け、本州側の産地との対応関係を明らかにすることで、漆器の流通ルートとその通時的変化を明らかにすることを主な目的とする。 研究代表者はこれまで繊維製品を中心とする自製品の検討を進め、資料を網羅的に集成したうえで技術論的視点から分類を実施し、従来知られていなかった地域差・年代差を明らかにできる事を示してきた。本研究の成果をこれまで申請者が取り組んできた自製品研究の結果と組み合わせることで、一貫したアイヌ物質文化研究の基礎を確立し、その後の議論の展開に寄与することが可能になるものと展望している。 令和5年度は、北海道厚真町教育委員会が所蔵するアイヌ民具資料全点を対象として写真撮影・観察ノート作成を実施した。この資料は前年度までにその所在と資料群の概要を把握していたもので、多量の漆器類を含み、使用されていた地域・年代等が明確であることから、主たる調査対象の一つとして選定したものである。この調査の成果については、次年度以降の報告書刊行を目指し、準備を進めている。 また、これらの漆器がアイヌにより入手・使用されていた当時の状況を把握するため、北海道立文書館が所蔵する「開拓使文書」をはじめとする公文書の調査を実施し、多くの情報を得ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初は新型コロナウイルスの感染拡大状況になお見通せない部分があったことから、所属機関以外での調査実施を先送りして関連資料の調査を優先させていたが、その結果、当初の予想を越える資・史料を数多く見出すことができ、これがその後の研究の質の向上に結び付いている。令和5年度に実施した厚真町内での調査に関しても、近代の胆振地方東部における対アイヌ政策の展開と結びつけた解釈への基盤を得られている。以上の点に鑑み、進捗状況はおおむね順調と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
厚真町教育委員会所蔵資料について、速やかな情報の共有をはかるために、独立した調査報告書の刊行を予定している。また、同様の調査を北海道内で実施する予定である。その他、器種毎の分析を進め、その成果について所属機関の紀要等への投稿を準備する。
|