研究課題/領域番号 |
22K01004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 建速 東海大学, 文学部, 教授 (20408058)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | マルタニシ / 次世代シーケンサー解析 / 全ゲノム / 系統解析 / 人間の移住 / 持ち込み / 栽培 / DNA / 移住 / 水稲耕作 / マルタニシの遺伝子情報とヒトの移住 |
研究開始時の研究の概要 |
貝塚の考古学的調査から、日本列島各地に生息するマルタニシは弥生時代以降に帰化したと推測されている。ミトコンドリアDNAによる解析でも朝鮮半島産と日本産の同種は区別できず、その可能性は高い。また北海道にもマルタニシは生息するが遺跡からは出土せず、アイヌ民族も同種固有の呼称をもたない。 本研究では、北海道のマルタニシは近代の入植者によって稲とともに本州以南から持ち込まれたという仮説を立て、全ゲノム解析によってそれを検証する。
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研究実績の概要 |
【研究の概要】本研究は水田環境を好んで生息する種であるマルタニシを対象として、その遺伝子を解析しその系統を読み、考古学的情報や文献史学的情報も加味して、水田経営者である人間の移住とマルタニシとがいかなる関係にあるかを考察するものである。その研究を開始したばかりである今回の研究では、とくに明治時代以降に水稲耕作が開始された北海道の当該種が、それ以降に本州以南の移住者によって持ち込まれたのか、それとも以前から当地に生息していたのかを、次世代シーケンサー解析を応用して確かめる。3年の研究期間の2年目となる今年度は、DNAの解析を実施する段階であった。 【2023年度の実施内容】 【試料採集】2023年12月までに採集してあった、北海道3地点(蘭越町10点、七飯町大沼13点、厚沢部町15点)、宮城県1地点(栗原市14点)、秋田県1地点(八郎潟町11点、新潟県1地点(長岡市15点)、神奈川県1地点(平塚市8点)、滋賀県1地点(甲賀市4点)の試料に加え、今年度新たに四国の愛媛県2地点(西予市1点、鬼北町5点)で試料を採集し、一度に解析可能な上限である96点の試料を得た。途中までできるだけ多くの地点の試料を集める方針としていたため、1地点3試料ずつの採集としていたが、それでは各地の遺伝子型を考えるのに数が少なすぎると考え、1地点の試料数を10点前後とすることとして、改めて試料を採集しなおした。 【次世代シーケンサー解析の実施】生物技研(神奈川県相模原市)に解析を依頼し、2月末までに解析が完了した。10地点96点のマルタニシの全ゲノムを解析し、系統解析をおこなった。 【結果と考察】北海道3地点の試料のうち蘭越町例は新潟県や秋田県産と同じ集団であり人間による持ち込みと栽培が読み取れる。大沼例は秋田県のものとの交雑がある。厚沢部町例は本州産との関係が不明である。今後さらに解析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析の結果の考察は未だ途上ではあるが、今回、日本列島のうち、北海道、本州、四国の10地点96点のマルタニシ試料の全ゲノムを解析し、データを蓄積できたことが、この研究の大きな成果である。そして、限られた地点のものではあるが、北海道の種のうち、1地点ものが新潟県や秋田県もののと同じ集団となり、マルタニシが人間によて運ばれ、栽培されたと見て良いことが明らかになった。大沼のものも秋田県のものとの交雑が読み取れたことにより、やはり人間によるマルタニシの移植があったと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
2つの計画がある。 ①研究の中間発表と報告書・論文の作成 2024年度は、報告書作成のために、より深いデータの解析と考察をおこない、報告書の作成ならびに論文の作成をおこなう。また、2つの学会での発表を予定している。 ②継続研究の実施に向けた研究費の申請 北海道の別地点、九州の試料、そして弥生時代に日本列島への水稲耕作をもたらした人々の居住域である朝鮮半島南部(大韓民国)での試料を採集し、さらに本研究を継続したいと考えている。こちらは、大韓民国の研究者との共同研究が必要であり、それを模索したい。
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