研究課題/領域番号 |
22K01006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
加賀谷 美幸 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50623790)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 遺跡人骨 / 体格 / 上肢帯 / 上腕骨 / 三角筋 / 体格推定 / 解剖学 / 筋量 / 胸郭 / 古人骨 / 先史時代 / 化石人骨 / 更新世 |
研究開始時の研究の概要 |
古人骨の形態から想定される胸郭の大きさや肩幅などのプロポーションは、心肺能力や筋力、生業活動を映し、集団の特徴をあらわすものとされる。しかしながら、その推定には実証的な根拠が乏しかった。本研究では、現代人サンプル(解剖実習体)に基づいて、体幹部の骨の計測値と、肩幅や胸郭幅などの計測値、上半身の筋量などの体格指標との関係を明らかにする。これを基礎データとして、2万年以上前の旧石器時代に相当する古人骨(化石人骨)資料である、石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡の人骨の体幹プロポーションの推定を行い、日本列島へ最初期に移入してきた人類集団の形質特徴をより具体的に復元することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は昨年にひきつづき、女性10体、男性7体の体格と骨格の計測値を追加して収集した。身長と体重のほか、肩と胸郭を中心とした体幹各部のサイズ(肩峰幅、肩最大幅、胸郭幅、胸囲、胸矢状径、胸郭長、腸骨稜幅、腰最大幅、胴長など)や四肢の長さ、関節幅、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、肋骨など個々の骨格の計測値、三角筋重量などを得た。また、鎖骨下面にみられる肋鎖靭帯圧痕が顕著な個体を記録した。 昨年度とあわせて38個体分のデータを分析すると、骨格の計測値と、軟組織の厚みを含めた肩や胸郭サイズの相関は弱かったものの、脂肪や三角筋を除いた後の、骨格上の計測点に基づく肩幅や胸郭サイズとはよく相関をみせることが分かった。例えば、肩峰間の肩幅は、鎖骨長、肩甲骨幅、肩甲棘長、上腕骨の長さや太さ(三角筋粗面位幅や遠位端幅)、第7肋骨の胸骨端厚や左右の胸骨端間距離、鎖骨中央部長径などと相関がよかった。皮下組織除去後の胸囲は、肋骨の長さや胸骨端の幅、肋骨体中央部の厚み、鎖骨長、肩甲骨幅、上腕骨の太さなどとよく相関していた。また、三角筋の発達は、鎖骨や上腕骨の、長さ項目ではなく太さ項目との関連が強いと考えられた。肋鎖靭帯圧痕の発達は、上肢の舟漕ぎ運動や生業と関連するとも目される形質であるが、軟組織を除いた胸囲に比して上腕骨が太い個体において顕著である傾向がうかがえた。 このように、鎖骨や肋骨、肩甲骨の計測値をもとに、肩幅や胸郭の大きさ、三角筋の発達程度を推測する根拠となるデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の中心データとなる解剖学実習体の計測は進められているが、応用目的である古人骨サンプルからのデータを取得するスケジュールを確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
解剖学実習体におけるデータで、分布傾向がはっきりしない計測項目も残っているため、データを追加したうえで、骨格計測値に基づいた肩幅や胸囲などの回帰式を作成する。また、実際に古人骨標本の観察の機会を得て、計測値をあてはめ、体格やプロポーションの復元をこころみる。これを通して、体格を推測する指標として無理がないようブラッシュアップする。
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