研究課題/領域番号 |
22K01008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
島田 潤 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, アソシエイトフェロー (00910259)
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研究分担者 |
渡辺 祐基 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 研究員 (20825583)
小峰 幸夫 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, アソシエイトフェロー (50791985)
佐藤 嘉則 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (50466645)
木川 りか 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 課長 (40261119)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | シミ / 文化財害虫 / 分布調査 / 生態 / 新規防除方法 / 新規防除方法の確立 |
研究開始時の研究の概要 |
紙資料を食害するシミ類は、日本の博物館・美術館・文書館に広く分布しており、貴重書の保存において重要な害虫の一つである。これまで国内で知られているシミとは異なる種が博物館と文書館で相次いで確認された。いずれも生息個体数が多いという共通点があったことから、既知種とは生態が大きく異なり強い繁殖力を持つことが考えられる。本研究ではこの未知種に関して、全国の施設での分布状況の把握を行い、本種を特定し、食性や繁殖力などの生態学的な特徴を解明する。さらに、文化財IPMの考え方に基づく有効な新規防除方法の確立を目的とする。貴重書を始めとする紙資料の保存の観点から、早急な調査と対策が必要とされる。
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研究実績の概要 |
博物館施設や文書館などから見つかった日本未記録種と考えられるシミの同定を行った。その結果1910年にスリランカで発見され、南米やヨーロッパで生息地の拡大を続けているCtenolepisma calvumという種であることが判明し、「ニュウハクシミ」と和名を提唱した。本種は幼生の段階で既知種であるヤマトシミやオナガシミと酷似しており、同定を簡易化するために国際的なデータベースにニュウハクシミのDNA(COI遺伝子領域)配列を登録した。 ニュウハクシミは繁殖力が強いことが考えられ、これまで日本で確認されている既知種のシミとは生態的に大きく異なることが想定される。本年は本種の生態を解明するために人工飼育を確立し、現在飼育条件下において生態の観察を進めている。 また、新たな駆除方法についても検討を行った。シミ類は資料にとどまって食害を続けるような種類の害虫ではなく、建物の中の広範囲に生息している。そのため資料自体の燻蒸のような殺虫方法ではあまり効果がない。またシミ類はゴミやホコリに含まれるたんぱく質を栄養源として生きていくことが可能なため長期的な対策が必要となる。そこでニュウハクシミのような強い繁殖力を持つシミの対策方法として設置型のベイト剤(毒餌)による駆除方法の検討を行い、結果を報告した。 さらに日本国内のニュウハクシミの分布調査も進めている。本種は日本国内のかなり離れた地域から記録されており、すでに日本の広範囲に生息地を拡大している可能性がある。そこで日本国内の侵入状況を明らかにするため、全国の博物館施設と連携して館のモニタリング調査時に捕まったニュウハクシミを対象に日本国内の分布調査を行った。本年において調査として集まったデータはまだ少ないため、ニュウハクシミの認知も含め、来年度以降も継続して分布調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初計画通りに進行しており、成果も順調に上がってきている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで知られていなかった昆虫のため認知に時間がかかっており、全国の分布情報の収集が遅れているが、セミナーや研修などを通じて広く周知していくことで全国の分布調査を効率的に進めていく予定である。
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