研究課題/領域番号 |
22K01013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 九州歴史資料館 |
研究代表者 |
小林 啓 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (20638457)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 有機物痕跡 / 解剖学的形質 / 考古資料 / 木炭木槨墓 / 鉄釘 / 平安時代 / 木炭木棺墓 / 古代(平安時代) / 考古遺物 / 有機物 / X線CT / 三次元計測 |
研究開始時の研究の概要 |
文化財の多くは有機物と無機物との複合体である。考古遺物の多くは、埋蔵中に有機物が腐朽して消失し、無機物だけが土の中から発見されて遺物として歴史資料となる。考古学では無機物を主体とした研究が盛んであるが、残存する有機物の痕跡から遺物本来の姿を復元・検討する研究も考古学や文化財科学の発展において重要な課題である。 本研究は無機物に付着した有機物の痕跡から遺物本来の姿を復元することを目的とした研究である。本研究は顕微鏡観察によって特定した有機物の解剖学的形質とX線CT及び高精細三次元計測によって把握した三次元データ用いて、有機物と無機物の複合として遺物本来の姿を復元するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は考古資料に付着する有機物痕跡を用いて資料の構造・製作技法等を想定復元することを目的としている。研究遂行にあたり復元対象を古代(平安時代)の釘付木棺墓に設定して調査を実施した。調査は、古代(平安時代)の木炭木槨墓及び木棺墓から出土した鉄釘を対象として、鉄釘に付着する有機物痕跡を解剖学的形質により分類した。 研究2年目(令和5年度)に調査を実施した墳墓は8遺跡8基である。内訳は、宮ノ本遺跡(福岡県太宰府市)・堀池遺跡(福岡県筑紫野市)・剣崎遺跡(福岡県筑紫野市)・観音山古墳(福岡県春日市)・東中谷遺跡(奈良県高取町)・大谷遺跡(滋賀県多賀町)・新保遺跡(新潟県上越市)・馬場遺跡(島根県三刀町)である。 木棺の基本的な構造は、小口板2枚・側板2枚・底板1枚・蓋板1枚の6枚の板材で構成しており、各材の木取りは何れも板目材となる。各材の緊結に用いる鉄釘は30~40本の範囲に納まっており各墳墓で大きな隔たりはない。樹種はスギ・ヒノキ等の針葉樹を基本そするが、一部の木棺では、棺蓋に広葉樹(散孔材)を用いている。 研究の中間報告として、日本文化財科学会第40回記念大会においてポスター形式による研究成果の発表を行った。(小林2023「鉄釘に残る木材痕跡による木棺の想定復元」)この他、東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター研究紀要に研究成果の一部を論文として掲載予定である。(小林2024「鉄釘に残る木材痕跡を用いた木棺構造の復元的研究」)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における調査対象は20遺跡20墳墓を予定している。研究2年目で全体の約7割が終了しており、研究は当初予定どおりおおむね順調に進展している。調査の根幹を成す有機物痕跡の解剖学的形質による分類は、当該所有の各種顕微鏡により実施可能であり、新たな機器の導入や研究手法の変更を行う必要はない。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目(令和6年度)は九州福岡エリア及び関西エリアを中心に墳墓より出土した鉄釘の有機物痕跡について調査を実施する。研究3年目に調査を実施する墳墓は、安祥寺下寺跡(京都府京都市)・西野山古墓(京都府京都市)・宮ノ本遺跡(福岡県太宰府市)・堀池遺跡(福岡県筑紫野市)など4遺跡4墳墓を予定している。 また、研究実績の中間報告として日本文化財科学会等の国内学会において研究成果を報告する。
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