研究課題/領域番号 |
22K01021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
丸山 啓志 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (90805756)
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研究分担者 |
塚本 明日香 岐阜大学, 地域協学センター, 助教 (80768771)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | チバニアン / 博物館 / アクセシビリティ / 地域学習 / 特別支援 / 3Dデータ / 復元 / インクルーシブ化 / インクルーシブ |
研究開始時の研究の概要 |
これからの博物館の役割に社会や地域の課題への対応が望まれている。とりわけ、様々な要因によって来館の難しい人がおり、アクセス可能なプログラムを開発する必要がある。そこで、本研究では、千葉県下で知名度が高いものの、まだ教育普及活動が十分でない「チバニアン」というテーマで、アクセシビリティの高い地域学習プログラムを開発する。まず、地域格差のある遠隔地の小学生を対象に、ユニバーサルデザインを意識したコアプログラムを現場の教員と共に開発・評価・改良を行う。その後、特別支援学校・特別支援学級の小学生を対象に、排除要因となるそれぞれの特性に対応する形で、コアプログラムを調整し、インクルーシブ化を図る。
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研究実績の概要 |
はじめに、既存の「チバニアン」関連プログラムの情報収集を行なった。その結果、チバニアン期底の地磁気逆転現象に注目したものや、市原市田淵の地域性に着目したプログラムが見られたが、古生物に着目したものはほとんどなかった。そこで、古生物と3Dデータを用いた教育普及プログラムについても情報収集を行ない、先行事例をまとめた。 こうした先行事例を受けた上で、「チバニアン」に関連する3Dデータの収集を行なった。まず、市原市田淵の現地調査を行い、路頭の3Dデータの収集を行なった。また、特にナウマンゾウといったチバニアン期を代表する大型脊椎動物について、3Dデータの収集を行なった。そして、得られた3Dデータを基に、対象の標本を用いて研究を行うとともに、3Dモデル作成のベースを作成し、コアプログラムのコンテンツの充実を図るようにした。あわせて、チバニアン期がどのような時代で、どのような環境であったかを、ヴィジュアルで訴えかけるように、チバニアン期の海を再現した景観復元画を作成し、地域学習プログラムの活用を図った。 作成したコンテンツを基に、博物館の持つコンテンツへのアクセシビリティ向上を図ったコアプログラムの開発に取り掛かった。しかしながら、3Dモデルの作成が当初の予定通りにはうまく行かなかったこと、また長引くコロナ禍の影響で、想定よりも特別支援学校との連携が活発に行えなかったことといった要因のため、コアプログラムの開発・実践には至らなかった。次年度においては、3Dモデルの充実と共に、コアプログラムの開発・実践を行い、インクルーシブ化に積極的に取り組んでいきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3Dデータの収集について、大型脊椎動物のデータについては当初の想定通り収集できた一方で、微化石などについては、データ収集が遅れている。そのため、一部コンテンツの充実が図れていない状況である。加えて、資料準備の中で次年度に導入予定の3Dプリンターが必要な部分があったため、必要な資料を十分数用意できず、コアプログラムの実践とインクルーシブ化の工程がやや遅れている状況にある。 また、新型コロナ禍の余波がまだ残っていた状況下であったため、想定よりも特別支援学校との連携が図れなかった。そのため、コアプログラムの開発に予定通りに取り組むことができず、プログラム開発がやや遅れている。 これらの遅れは、必要機材の導入がすでに予定されていること、新型コロナが5類になり社会的な落ち着きが取り戻されてきたことで、挽回できる程度のものであると考えている。一方で、景観復元画の作成とそれに伴う3Dデータに関する知見については、当初の予定よりも多く得ることができたので、この点では進んでいると言える。 予定よりも進んだ部分もあるが、本研究の心臓部であるコアプログラム開発に遅れがあり、ただし挽回を見込める状況であるため、事業全体としてはやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
3Dプリンターを導入し、これまでの得られた3Dデータを基に、コンテンツの充実を図っていく。特に、研究代表者の所属する千葉県立中央博物館で、特別展「よみがえるチバニアン期の古生物」が開催される。この展示において、研究代表者は主担当の役割を担うため、主担当権限も生かして来館が難しい方を対象としたコンテンツの拡充を行う。 具体的にはまず、視覚に訴えるだけでなく、体感でも把握しやすい原寸大のチバニアン期の古生物の復元画や、触ることのできる化石・模型などを製作する。そしてその活用方法を幅広く検討しながらコアプログラムを開発する。 コンテンツとプログラムを揃え、まずは、博物館とは遠隔地にある小学校4年生の一般クラスを対象とした地域学習プログラムとして実践する。合わせてアンケート等を実施し、その結果を踏まえて改良に取り組んでいく。また、マイノリティの方にもアクセシビリティの向上に対する課題を見つけ、最終年度に向けて、問題点の整理を行なっていく。
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