研究課題/領域番号 |
22K01022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
黄川田 翔 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (20839625)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 博物館・美術館 / 展示照明 / 保存環境 / 鑑賞環境 / 輝度分布 / 博物館 / 美術館 / 輝度 |
研究開始時の研究の概要 |
博物館・美術館においては、展示物に照射する光を制限しつつ、鑑賞に支障がない照明環境が求められている。そのような中、この10年ほどで展示照明のLED化や小型化が進み、自由度の高い光の制御が実現されつつある。本研究では、展示照明に関して、保存環境と鑑賞環境の両立がどのように図られているのかを明らかにするため、国内外の博物館・美術館を対象とした詳細かつ包括的な調査・分析を実施し、次世代型の展示照明の構築に向けた基礎情報の集積を進める。
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研究実績の概要 |
博物館・美術館の展示照明では、保存環境と鑑賞環境の両立、すなわち光に起因する劣化の進行を抑制しつつ、鑑賞しやすい照明環境を構築することが目指されており、本研究ではその調査と分析を進めようとしている。 2023度は、大分県立美術館および沖縄県立博物館・美術館において、主に各館の収蔵品を展示している常設展示室(コレクション展示室)を対象として、展示照明の調査を実施した。現地調査では、二次元色彩輝度計による展示空間の輝度分布の測定を中心に、分光放射照度計による照度等の測定、分光測色計による床・壁の測色を一部で実施している。また、学芸員に対する聞き取り調査では、照明調整の方法、照度制限や展示期間の制限といった運用面の状況等について確認している。 大分県立美術館のコレクション展においては、基本的には分野別の展示計画が採用されていた。一方、沖縄県立博物館・美術館の常設展では、分野別の展示計画に加えて、複数の歴史・文化テーマを横断的に組み込んだ通史的な展示計画も採用されていた。分野別の展示室の場合は、同じような照度制限の展示品がまとまって陳列されていることが多く、このような展示計画と照明環境との関係性についても検討を行った。現時点では調査実施件数が少ないため傾向を把握するには至っていないが、①周囲(床・壁・天井)よりも展示面の輝度を高くしている輝度分布、②空間全体の輝度が比較的均一な輝度分布等を確認している。なお、今回調査した2館においては、展示替えの際に展示担当学芸員が照明調整する(美術品輸送業者が協力する場合もある)、あるいは館内施設管理担当者が照明調整するといった運用が行われていた。ヒアリング調査で確認した運用面の課題が、展示照明にどのような影響をもたらしているかについても検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他業務との兼ね合いにより、調査時間を十分に確保することができなかった。また、調査協力館との調整に時間を要しており、当初の予定よりも調査実施件数が少なく、進捗状況としてはやや遅れている状況である。一方、すでに調査を実施した博物館・美術館においては、多様な展示空間の輝度分布等が測定できており、展示計画と照明環境との関係性に着目しながら分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、博物館・美術館においての展示照明調査と分析を順次進める。2023年度に調査を実施した2館においては、多様な種類の美術品・文化財等が展示されており、それに伴い照明環境が異なる複数の展示室を調査することができた。今後も、照度制限が厳しく設定されているような浮世絵/素描/染織/漆工等が展示されている空間、比較的照度を高く設定できる金工/ガラス/陶磁器等が展示されている空間、さらにそれらが共存する展示空間について、特徴抽出や比較を進めたいと考えている。
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