研究課題/領域番号 |
22K01029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
若狭 幸 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (40442496)
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研究分担者 |
小畠 秀和 同志社大学, 研究開発推進機構, 教授 (10400425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 風化 / 原位置宇宙線生成核種年代測定法 / 海成段丘 / タフォニ / 酸素同位体ステージ / 地形年代 / 宇宙線生成核種 / TCN / 結晶成長 / MIS5 |
研究開始時の研究の概要 |
安全な居住地、再生可能エネルギー発電所の立地、放射性廃棄物の地層処理場の決定には、その土地の安定性を明らかにすることが不可欠である。その地域の安定性の指標の一つに、地形年代がある。その地形が発達した時間スケールが分かればその地域の安定性を定量的に評価できる。これまで、我が国のみならず、世界中で地形年代測定が行われてきたが、測定する手法はそれぞれ適用できる地形や地質に制限されてきた。本研究では、岩石が地表で、位置を変えることなく、地表で発生する現象(風雨・凍結・溶解など)により変化・変質する、「風化現象」に着目し、「風化」と地形年代値の関係を明らかにすることで、地形年代測定の適用地域を広げる。
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研究実績の概要 |
本研究では、これまでの年代測定法が適用できなかった地形・地質で利用できる地形形成年代測定に、「風化」が利用できるかどうか、また、得られた年代値の精度と信頼度について評価する。そのために、地形年代測定学的アプローチと結晶成長学的アプローチを融合させ、「風化」と地形年代の関係を明らかにし、有効な地形年代測定法を確立することを目的とする。 昨年度得られたデータでは、これまでの地形学的手法によって推定されていた地形年代と比較すると小さい値となり、これは、地表面の侵食による影響や、原地形による影響が考えられた。当該年度では、その考察を深めるために、国際会議で発表を実施し、海外の研究者らと議論を重ねた。その後、論文を執筆を実施し、投稿準備をしている。また、国内会議において2件の発表を行った。 第二に、新たに年代測定と風化の関係を議論していくにふさわしい場所を調べるため、現地調査や踏査を実施した。当該年度では主に日本海側を能登半島から京丹後まで年代が推定されている海成段丘面で、原位置宇宙線生成核種年代測定法で測定可能な地形面の探索を実施した。 第三に、風化により形成されたタフォニという微地形について、調査を継続した。当該地点は地形形成年代が既知であることから、風化による地形変化量を測定できれば、風化と年代の関係を見積もることが可能である。当該年度では、3D写真測量の技術を使用し6000点に及ぶ地形の計測を行った。これにより、風化と年代の関係について見積もることができた。このことについて国内会議で発表を実施し、その技術内容について論文投稿を行った。 また、原位置宇宙線生成核種年代測定法を実施するための実験室の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験室の整備が進んでいること、本研究の目的である地形面の年代測定が何点か実施できたこと、風化と地形の関係について研究が実施できていることなどにより、順調に進んでいるが、結晶成長と風化の関係について、研究が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2024年度は、結晶の顕微鏡観察を重点的に行っていく予定である。これまで、原位置宇宙線生成核種年代測定法を用いて年代が得られている2地点において、岩石試料を共有し、実験を行う予定である。 年代測定を実施した地点においてまだ論文を投稿していない場所が2点あるため、その地域の論文執筆を進める。実験室については整備がほぼ完了するため、年代値の精度向上に向けた基礎実験なども開始する予定である。 タフォニについては、新たな研究法を試していく予定である。また、これまでと他の地域についてのタフォニ、もしくはタフォニに類似するような風化地形についても探査・研究を実施していく予定である。
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