研究課題/領域番号 |
22K01033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
栗林 賢 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 准教授 (90732991)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 産地集荷市場 / リンゴ / 青森県 / 集出荷業者 / 輸出 / 主産地 / 流通 / 産地間調整 / 果樹 / 市場価格 / 新品種 / 市場外流通 / 食料の安定供給 / 出荷時期の棲み分け |
研究開始時の研究の概要 |
戦後の日本は、その国土全域に渡って満遍なく同質の農産物を供給可能なシステムを構築してきた。そして、国内においてその役割を担ってきたのは主産地であった。しかし近年、主産地における生産・流通基盤の弱体化の進行と、それに伴う産地間における出荷時期の棲み分けの論理の後退が指摘されている。出荷時期の棲み分けは現代の食料供給において、価格形成や安定的な供給という視点から維持されるべきものである。本研究では、主産地における流通の担い手であるJAや集出荷業者がどのようにその変化に対応し、主産地間における出荷時期の棲み分けが維持されているのかという視点から食料供給の維持要因を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度は青森県において、産地集荷市場である弘前中央青果株式会社と、リンゴの集出荷業者の組合である弘前りんご商業協同組合、1社の集出荷業者、青森県庁りんご課に聞き取りを実施した。その結果、従来、周年供給の基幹品種であった有袋のふじの収穫量、生産農家の減少が著しく進行していることがわかった。しかし一方で、周年供給体制の維持は、国内市場価格の維持にも繋がることから、集出荷業者ではリンゴ新規鮮度保持剤「1-MCP剤」の活用による他品種の鮮度維持期間の向上が図られ、また、産地集荷市場と集出荷業者はそれぞれで自社の農業農業生産法人を設立し、流通量を維持するなど、生産面への直接的な関与が進められていることが判明した。 また、近年は輸出量の増大に伴い、国内に流通するリンゴ自体を確保することの困難性も伺えた。従来、最も輸出量の多い台湾への輸出は、旧正月における世界一の消費といった特定の時期・品種に限られていたが、近年は経済発展に伴い、多様な品種の需要が増大している。その中で、台湾の商社は日本に現地法人を設置し、リンゴの獲得に努めているという。これにより、産地集荷市場でのセリ取引も活発化し、価格の上昇を招いている。加えて、青森県庁からの聞き取りによると、海外産のリンゴの輸入量も増加していく中において、国内産の国内市場流通量の減少が進むと、海外産によって市場を奪取される危惧もあるとのことであった。 このように、青森県からのリンゴの周年供給に関して、産地内の変化だけでなく、産地外からの影響も大きくなっていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンゴの周年供給を担う集出荷業者と、その集出荷業者にリンゴを多く供給する産地集荷市場、県内におけるリンゴの生産・流通の仔細を把握する青森県庁りんご課に聞き取りを実施し、周年供給体制に関する変化を把握できたことは大きい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、日本の周年供給体制を担っていると言っても過言ではない青森県内に立地する集出荷業者に対して聞き取り調査を進め、現在の周年供給体制がどのように維持されているのかを分析することを主な方針とする。
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