研究課題/領域番号 |
22K01035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
苅谷 愛彦 専修大学, 文学部, 教授 (70323433)
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研究分担者 |
山田 隆二 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主任研究員 (70343762)
木村 誇 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (90758559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 大規模斜面崩壊 / 地すべり / 大起伏山地 / 地形変化 / 古地震 / 海溝型地震 / 酸素同位体比年輪年代 / 酸素同位体比年輪年代法 / 第四紀 / 地形 |
研究開始時の研究の概要 |
実在した海溝型巨大地震や内陸活断層直下型地震と絡めて提案され、一般市民にも広く受容されてきた大規模斜面崩壊の誘因(ひきがね)と発生年代に関する「通説」を、地形学・地質学及び理化学的年輪年代学の観点から詳しく検証する。例えば、887年八ヶ岳大月川崩壊(仁和地震説)や1707年安倍川大谷崩(宝永地震説)、1854年七面山大崩(安政地震説)等がその対象となる。これらは詳細な検討を経ないまま、仮説が真実のように扱われている事例群である。そして、『歴史時代・地質時代の大規模斜面崩壊の発生過程や発生年代はどのようなものだったか?』というストレートな問いに正確に答える。
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研究実績の概要 |
これまでに研究代表者・研究分担者らが樹立してきたセルロース酸素同位体比年輪年代法による大規模斜面崩壊の高精度編年をさらに応用し、従来「通説」として広く受容されてきた大規模斜面崩壊の発生年代の限局に向けた研究の第二段階を開始した。野外調査は新型コロナウィルス感染症拡大による種々の行動制限の影響を受け、主に令和4年度後半に重点を置いた。 安倍川上流大谷崩(静岡県静岡市)及び八ヶ岳大月川(長野県小海町)に特に焦点を絞り、これまで調査がなされていなかった地点を重点的に精査した。この結果、いずれの地域でも複数の年代測定試料が新規に発見された。大谷崩では安倍川の2支川で古い堰き止め湖沼堆積物が発見され、それらの年代が崩壊発生開始時期を探るうえで重要な制約を与えた。特に支流の1つでは、安倍川沿いの高位段丘面を構成する大谷崩の最終崩壊物質の層位的下位に堰き止め湖沼堆積物が確認され、最終崩壊物質の定置以前から安倍川本川の河床上昇=河谷の埋積が生じていたことが確定した。大月川では更新世後期や完新世中期を含む古い年代値が複数得られ、崩壊が単発的ではなく、過去数万年間に反復してきた可能性が示唆された。広く流布している大谷崩=CE1707発生説、大月川=CE887発生説は慎重に再考する必要があるといえる。 これまで酸素同位体比年輪年代法による高精度編年が未実施だった西南日本の大規模斜面崩壊地を対象に、試料探索を含めたパイロット調査も実施した。特に、海溝型巨大地震を誘因とする斜面物質移動が起こった可能性の高い四国太平洋岸で野外調査を行った。ただし、現時点では年代測定用の最適試料は獲得できていない。 本研究に関連する主な成果は、日本地理学会や日本地球惑星科学連合(JpGU)、日本第四紀学会において口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中部日本及び西南日本で年代測定試料(主として針葉樹大径樹幹化石)の探索を実施する予定であったが、年度前半は新型コロナウィルス感染症拡大による種々の制限があり、計画にあった野外調査が年度後半にずれこんだため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に実施できなかった西南日本での野外調査に主力を置く。しかし中部日本でも試料探索を行うべき新サイトがいくつか見いだされており、露頭等の消滅前に調査を行う必要がある。令和5年度は、両地域における野外調査をバランス良く行うとともに、野外地質記載と年代測定を進めてゆく。
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