研究課題/領域番号 |
22K01049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
矢部 直人 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10534068)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 都市地理学 / 社宅 / 住宅地図 / 東京 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業の社宅に注目して、近年減少が著しい社宅の跡地利用を明らかにする。住宅地図データを活用して東京23区内の社宅を抽出し、どこで、どのように変化しているか分析する。これにより、企業福祉や政府の住宅政策の変化と関連する都市空間の変化について、理解を深めることができる。分析対象期間は、バブル経済崩壊後の1990年代後半から2020年である。また、住宅地図以外の資料を用いて、社宅跡地を所有している主体や、住民の属性についても分析する。
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研究実績の概要 |
前年度に作成した社宅のデータベースについて,妥当な範囲で社宅を補足しているか再確認を行った。その上で,1997年時点の社宅が,1)いつまで残っているか,2)変化した場合はどのような建物に変わったのか,という2点を分析した。具体的には,1997年度時点の社宅がいつまで存続したのか,6時点(2003,2008,2013,2016,2020,2022)のZmap TOWN IIを用いて,建物の変化の有無を調べた。社宅以外へ変化した場合は,2022年度時点における跡地の利用について記録した。社宅の存続/廃止に関する分析では,生存分析の手法を用いた。その結果,1997年度時点の社宅は8,383棟あり,2022年度時点でその3割が存続していた。内訳をみると,民間企業の社宅は2割,公的機関の社宅は5割が存続している。民間企業の社宅は1990年代後半の減少率が特に高く,この時期に社宅の廃止が一気に進んだことがわかる。社宅の存続/廃止に影響を与える要因の分析では,民間企業の社宅であること,社宅の床面積が小さいこと,が社宅の廃止に関連していた。廃止された社宅の跡地利用では,マンションなどの共同住宅(46%)が最も多く,戸建て住宅(24%),空き地・公園(13%)が続く。跡地利用に関しては,社宅を提供する主体や,社宅の床面積,都心からの距離により跡地利用が異なる傾向が示された。社宅の跡地は主に住宅へ変化していたことから,おおむね市場を通した住宅供給が進んでいると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
住宅地図のデータから社宅の跡地利用を調べる際にGISを用いたが,データの特性上,手作業で跡地利用を確認する必要が生じた。GISによる分析では,隣接する建物を跡地利用として判断してしまう場合が多くあったためである。そのため,社宅1件ごとに,目視でデータを確認する必要が生じ,多くの時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
社宅の跡地について,現時点では多くが住宅へ変化したことが分かっている。しかし,その住宅の中に,借り上げ社宅が含まれているかは検討できていない。これは用いた住宅地図のデータの性質による限界である。そのため,他のデータソースから,社宅からそれ以外の住宅へ変化したことを裏付ける必要がある。具体的には,国勢調査や民間企業の分譲マンションデータベースを用いて,社宅跡地にできた住宅の種類を把握する。また,社宅を保有している/していた企業に対して聞き取り調査を行い,どのような経緯で社宅が存続/廃止されたのか,具体的な事例を集める。
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