研究課題/領域番号 |
22K01054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
網島 聖 佛教大学, 歴史学部, 准教授 (70760130)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 産業化 / 医療 / 衛生 / 華北地方 / 満州 / 植民地近代論 / 薬事制度 / モダニティ / 領域的制度 / 日系薬業者 / 外地 / 商工業者ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
近代の産業化がもたらした経済空間の再編を解明するという歴史地理学研究の議論を背景に、本研究計画は近代日本のいわゆる外地への日系業者の進出を事例に、多様な地理的スケールに対応した特定の領域内で効果を発揮する制度の影響を検討する。具体的には、明治30年代から昭和10年代の日系薬品業者が華北地方、満州、朝鮮半島へ進出するに際して直面した薬品取引制度や関連法規の相違、それへの対応を分析するとともに、得られた知見を西欧先進産業化国の事例と比較し、後発産業化国のモデルとしてグローバルな産業化の歴史に位置付け、成果を国際発信する。
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研究実績の概要 |
本研究計画では、近代日本のいわゆる外地への日系業者の進出を事例に、多様な地理的スケールに対応した特定の領域内で効果を発揮する制度の影響を検討することを目的とする。この目的を達成するため、具体的には(1)明治から昭和初期の華北地方、満州、朝鮮半島における薬品取引制度とその再編の検証、(2)同時期の日系薬品業者による当該地域への進出状況と薬品取引制度の対応の検証、(3)現地(華北地域、満州、朝鮮半島)における在来の薬品取引制度とその変化の検証、(4)得られた知見を西欧先進産業化国の事例と比較して成果を国際発信するという4つの課題を設定し、それぞれの検証を実施する。 各課題に対する昨年度の実績としては、(1)および(3)については、『渡満と衛生』、『大奉天事情総覧』などの史料群から、医療・衛生に関する情報を抽出・整理するとともに、医薬関係の制度再編の状況や関連する言説の分析を行った。とりわけ奉天市(現・瀋陽市)の分析に注力した。その成果の一部は、2023年度人文地理学会大会で報告するとともに、佛教大学歴史学部論集に掲載の論文として公刊した。(2)については広島県の医薬品業者に関する『広島県薬業史』などの文献類や『広島薬報』などの業界新聞類を収集し、内地の業者が外地への進出の状況や言説を収集、整理した。(4)については、国際的な産業化・近代化に関わる歴史地理学の議論、とりわけ開発原病や植民地近代論との接続を目指し、医療・衛生に関わる議論をもまとめる準備を行なった。その一部は次年度以降の国際学会での報告準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内での資料収集や分析については当初予定通り順調に進んでいるが、中国東北部での現地調査については、数年前までと根本的に状況が変わっており、根本的な計画の見直しを余儀なくされている。そのため、国内での資料調査を優先させる方針を採った。現在、中国東北部をフィールドとする歴史地理学研究者間で情報交換を行ない、現地での調査協力者の獲得を含めた施策を模索している。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で示した具体的課題(1)~(4)について、以下の通り予定する。まず、(1)、(3)については、これまでに収集した日系薬品業者の満州進出と取引制度に関する資料のデータベース化、整理・分析をさらに進める。その成果をもって、今年度夏季に実施される国際学会大会で口頭発表することを目指す。(2)については広島県の医薬品業者に関する資料収集を行い、対外的な進出と関連づけてその内容を分析する。(4)については、産業化と植民地近代論に関する議論を整理し、国内学会での口頭発表を行うとともに、査読付き学術論文として公刊することを目指す。なお、「現在までの進捗状況」で示したとおり、中国東北部での現地調査が困難な状況が発生している。2025年度に上海復旦大学で開催されるICHG2025などにおいて、現地研究者による調査協力の獲得を目指す。
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