研究課題/領域番号 |
22K01064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
川久保 篤志 東洋大学, 法学部, 教授 (50314612)
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研究分担者 |
塚本 礼仁 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10315278)
淡野 寧彦 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (10591951)
佐々木 達 法政大学, 文学部, 准教授 (40614186)
深瀬 浩三 立正大学, 地球環境科学部, 特任准教授 (50631884)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コロナ禍 / 食関連産業 / 観光農園 / 飲食店 / ワイン / 稲作 / ウナギ養殖 / 和牛 / 食料需給 / 農林水産業 / 適応戦略 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は,コロナ禍による食料需給の変化が食料生産や食関連産業に及ぼした影響を,需要の激減で急遽対応を迫られた農牧業・水産業部門と観光業を含む食関連産業を中心に分析し,そこで見出された適応戦略を今後の農牧業・水産業の持続的発展にどう活かすのか,未来志向で構想するものである。具体的には,相場の下落や需要減が著しかった米・和牛・加工向け果樹,ウナギの産地を取り上げるが,分析においては「コロナ禍による観光業の不振」が農業の6次産業化や農商工連携に及ぼした影響にも注目し,観光農園,ワイン・お菓子工場,和牛レストラン,ウナギ飲食店の業績や原料供給者・顧客との関係についても検討する。
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研究実績の概要 |
本年度は、コロナ禍で生じた食料需給の変化について、外食・中食需要の減少や観光業の不振による高級食材や加工品の需要減を中心に、その概要を検討した。 代表者の川久保は、主要な果樹加工品の1つであるワインについてコロナ禍での需要変化とワイナリーの対応について検討した。その結果、外食・観光需要の減少によってコロナ禍初年度は販売減と在庫増が見られたが、通信販売を強化した結果、現在ではコロナ禍前と同水準に戻ったことが明らかになった。これは統計的にも把握でき、山梨・長野・北海道など新興ワイナリーの多い地方では、2021年度より醸造量が回復し、ワイナリーの創業も再び活発化している。 分担者の淡野は、高級畜産物の1つである和牛を中心に、コロナ禍がその流通・消費形態に及ぼした影響や変化について、専門誌などの文献調査を行った。コロナ禍当初は、現場は大きく混乱し、外出自粛や海外観光客の大幅減による外食需要の減少が発生したが、コロナ禍が長引く中で、内食向けの通信販売の増加など、新たな供給形態の展開もみられるようになった。 佐々木は、主食である米の需要変化と流通面について検討した。コロナ禍で米の需要が減少した結果、流通面では農協による系統販売が減少し、農協の直販や生産者の直販が拡大した。一方、需要減は米価の下落に繋がったものの、銘柄間での価格の幅が大きいことも特徴的であった。 深瀬は、山形県天童市・東根市・寒河江市におけるコロナ禍での果樹生産と観光果樹園の動向について、山形県立図書館や各市立図書館、市役所などで資料収集を実施した。 塚本は、各種統計や業界誌などから、コロナ禍におけるウナギ産業の動向を加工品消費と専門店飲食に分けて観察した。その結果、加工品消費は巣ごもり需要により、むしろ活性化したこと、専門店飲食は制限や自粛により沈滞し、消費地の活鰻流通量は明らかに落ち込んだことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、代表者・分担者計5名で論文1、学会発表5しか研究成果を出せなかった。このような進捗状況に陥ったのは、コロナ禍の影響で秋口まで現地調査に行けなかったことが最大の理由である。5人は夏季休業中に日本全国に調査に行く予定にしていたが、特に東京の大学に在籍している者が研究対象にしていた地方に行けず、文献・統計分析を中心とした研究にならざるを得なかった。晩秋から現地調査を始めた者もいたが、全体として、論文執筆までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度に計画していた調査地に代表者・分担者とも積極的に出向く予定にしている。昨冬からようやく現地調査が従来通りできるようになったことは、本科研メンバー全員が体感しており、支障はないと思われる。 代表者の川久保は、長野県に加えて山梨県も調査地に加え、ワイナリーとワイン用ブドウ農家の経営対応について実態調査を進める予定である。昨年度は、ワイナリーに原料を供給するブドウ農家への影響や経営対応について調査できていなかったが、ワイン用ブドウの生産・流通は統計的な把握が困難であるため、現地調査を行う意義は大きいと思われる。 分担者の淡野は、昨年度できなかったコロナ禍が和牛の生産面に及ぼした影響や変化を中心に分析するために、鹿児島県や滋賀県などに出向く予定である。 佐々木は、宮城県の主要な米産地であるJAみやぎ登米の管轄地域において流通対応や生産者の経営実態を調査することで、コロナ禍の影響を実態に即して検討する予定である。 深瀬は、昨年度に資料収集した山形県内の観光果樹園への聞き取り調査を実施する。また、福島県などで果樹生産と観光果樹園に関する資料収集を行い、次年度の調査の布石にする予定である。 塚本は、昨年度に統計・文献調査で確認したウナギ産業の動向(加工品消費・専門店飲食)を現地調査を通じて検証するために、養殖から専門店までウナギ産業が集積している静岡県浜松市において調査を実施する。
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