研究課題/領域番号 |
22K01067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
中村 努 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (00572504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 協同 / ケア / 相互扶助 / 豊明市 / ローカル・ガバナンス / 医療生活協同組合 / ICT / 在宅医療 / 京都市 / 新型コロナウイルス感染症 / 多職種連携 / 都市部 / 地域的公正 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の複数の都市部を対象として,在宅医療の供給主体や利用者に対する現地調査やウェブ調査を通じて,在宅医療支援体制の空間特性を明らかにする。ケア供給にかかわるアクターによって形成されるローカル・ガバナンスの空間スケールと,従来の地域計画や空間政策が想定する地理的範囲との関係から,その時々のすべての患者のニーズに対応した医療サービスが提供されているかという地域的公正に基づく配分効率について検証する。
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研究実績の概要 |
社会的孤立問題を抱える都市部では,多様なアクターの協同が都市部の高齢者のケアニーズに対処しうる。名古屋市緑区に本部を置く南医療生協では,介護保険や行政との交渉力も念頭に入れたボトムアップ型のガバナンスを形成し,組合員による組織運営への主体的関与が実現している。同組合の相互扶助機能は,豊明市による公的保険外サービスを実現するために活用された。そこで,本研究は,愛知県豊明市のケア供給体制を事例として,協同空間の形成プロセスを検証し,その意義と可能性を論じた。 豊明市は名古屋市のベッドタウンで,高齢者を中心に在宅生活のための環境整備が課題となっていた。2015年,豊明市,地域包括ケアを教育に導入したい藤田医科大学,団地の空き家対策や高齢化に苦慮するURの三者が連携し,健康相談や介護予防の拠点を開設した。翌年以降開催されている多職種合同ケアカンファレンスでは,実事例から,生活課題や自立支援の手法が医療介護専門職,行政や民間企業に共有され,地域資源への理解と課題解決能力の向上が図られている。多職種合同ケアカンファレンスのケース検討資料は,名古屋大学医学部附属病院が開発した「いきいき笑顔ネットワーク」によって共有され,2018年度以降はデータ解析により介護保険事業の円滑な運営が図られている。 また,一人の困りごとをお互いに支えあう取り組みである「ちゃっと」は,市と3つの協同組合との共同運営によって,2017年に開始した。加えて,豊明市は交通弱者対策を行うアイシンなど,18の民間企業と公的保険外サービスの創出・促進に関する協定を結ぶなど,協同空間において,既存の支え合いの仕組みや企業活動が,ケアの論理に基づく生活モデルを確立する手段として位置付けられている。 以上の成果の一部は,「愛知県の都市部における協同によるケア供給体制の空間特性」として学術雑誌にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なる都市部における在宅医療の事例への予備的な調査候補の一つとして設定した,南医療生活協同組合を対象に,名古屋市における,病院,診療所,介護など複数のケア供給体制や,住民とともに行うまちづくり支援について明らかにできた。また,豊明市における病院,自治体,住民の相互連携による,ケアの論理に基づく生活モデルへの円滑な移行を目指すプロセスをヒアリングによって詳細に検討することができた。その成果は学術論文として公表することができた。このことから進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
豊明市および豊田市における本格的な調査を実施する予定である。豊明市ではひきこもり支援,豊田市では外国人児童に対する放課後等デイサービスを提供していることから,本研究課題の目的を明らかにするための有益な示唆が得られることが期待される。また,比較対象として台湾では,ICTを活用した医療・介護連携の取り組みが進展していると考えられることから,今後の調査事例として適切かどうか検討を進める。
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