研究課題/領域番号 |
22K01073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩本 通弥 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60192506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日常 / 文化遺産化 / エブリデイ・ナショナリズム / バナル・ナショナリズム / 食 / 家族 / 生活文化 / 普通の人びと / 世相史 / バーナル・ナショナリズム / 親子心中 |
研究開始時の研究の概要 |
〈日常〉という動態的概念は、有用ながらも多義的で捉えにくいことから、「食」と「家族」という具体的な研究実例を示すことで、その定着化を図るとともに、観光資源化や国家ブランド化に「動員」「回収」されやすい東アジア民俗学の構造的瑕疵を浮き上がらせ、修正することを目標とする。
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研究実績の概要 |
コロナ感染症の大流行による規制で、予定をしていた現地調査は海外・国内とも中止せざるを得なかったため、2022年度は文献調査によって、データの蒐集および先行研究の概念的整理をもっぱら行うことにした。 本研究の研究視角として注目してきた分析概念である、Banal Nationalismに関して、類似する概念であるEveryday Nationalismとの相違を、先行研究を系統的に追うことによって浮き彫りにした。両者とも日本語に翻訳する際、「日常的ナショナリズム」と訳されることも多いものの、前者は公式の国家ナショナリズムが日常生活や大衆文化を通じて、どのように普通の人びとに再生産され表現されるかを解き明かすための概念であるのに対し、後者はスポーツチームの応援や国産品の購入、国家祝日の祝賀のあり方など、より幅広い日常生活の中でのナショナリズムの表現を含んでいる。前者は「平凡なナショナリズム」、後者は「日常の中のナショナリズム」と訳し、操作的に弁別しながら用いるのが適当かと思われる。 当初の申請書には、具体的な事例分析の対象として、「食」と「家族」を焦点化すると記したが、「食」に関してはEveryday Nationalismの文脈で、多数の研究蓄積があることが判明してきた。 一方、「家族」に関しては、Googleアラートを利用し、2022年度に発生した「心中」の語を含むニュース記事を蒐集した。2023年度以降に蒐集を計画している中国・韓国の同種の事件報道と比較しながら、事象に対する「語り方」に着目して、分析を試みるつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の大流行による規制で、予定をしてた韓国における現地調査は中止せざるを得なかった。また2月に現地調査を予定していた遠野市小友の裸参りも、コロナ蔓延予防のため、直前に開催中止となり、断念せざるを得なかった。2023年度以降にこれらの現地調査を試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では2024年度と2025年度には、中国で現地調査を行うつもりであったが、中国における反スパイ法の成立により、外国人のフィールドワークが困難であるとの情報が流れてきた。「食」と「家族」に関するデータの蒐集は行っていくものの、状況の進展によっては、調査地を台湾に変更する可能性も濃厚になってきた。もうしばらくは様子見をして、慎重な判断を期したいと考える。
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