研究課題/領域番号 |
22K01074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田村 うらら 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (10580350)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 遊牧民 / ユルック / 脱・人間中心主義 / 人間ー動物関係 / イスラーム / 自然観 / 人類学 / 人間-動物関係 / トルコ |
研究開始時の研究の概要 |
初年度前半は日本国内における文献精査に注力し、夏季以降、情勢の許す限りトルコ中南部・西部において資料収集と中心的なフィールド選定を目的とする予備現地調査を実施する。翌年度から2年間を年2回の集中的な現地調査を伴うデータ収集に重点を置きつつ、国内外での学会発表などを積極的に行ないながら、研究者と議論を行なう。 後半の2年間は、補足調査と並行しつつも研究エフォートの中心を徐々に成果発表に移し、学会誌への投稿・論文等出版を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は、「脱・人間中心主義」の視点から、広義のユルック(トルコ遊牧民)を主たる対象として人間-動物関係を詳らかにし、さらに現代トルコ社会を事例に、地中海・イスラーム世界における硬直した自然観を捉え直すことを目的とする。定住/移牧/遊動のユルック(トルコ遊牧民)を自認する人々を中心的な対象とし、彼らの人間-自然関係を人類学的に観察・分析することを通して、イスラーム世界におけるマルチスピーシーズ民族誌との接続可能性を探ることを目指すものである。 初年度となる当該年度は、マルチスピーシーズ、環世界、人新生、などの概念を扱う関連先行研究を精読し、研究会に参加するなど概念部分のインプットを精力的に行なった。結果的にそれらが本科研課題の研究活動の中心をしめることとなった。理由は複数あるが、特に現地調査を年度末の3月に予定していたものの、前月2月のトルコ・シリア大地震に伴い、中止を余儀なくされたため、厳密な意味で本科研に関わる調査を実施することができなかったことは重大であった。とはいえ、当該年度に実施した別の科研調査の折に新たに形成することのできた、「現役ユルック」たちとのネットワークは、本科研の今後の遂行にとって大変重要な意味をもつものであることは疑いなく、その意味でも実りのある初年度であったと言える。 当該年度の成果発表として、6月に日本文化人類学会で分科会内の個人発表を行なったほか、4項目を執筆した『イスラーム文化事典』(丸善出版、2023)、トルコのラクダ相撲用のラクダ飼養を題材とした章を寄稿した共著が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末に現地調査を予定していたが、2月のトルコ・シリア大地震に伴い、中止を余儀なくされたため、厳密な意味で本科研に関わる調査を実施することができなかったため。ただし、そのほかは概ね順調であり、初年度としては十分な進捗があったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現地調査を精力的に進め、地中海・イスラーム世界における硬直した自然観を捉え直すという当初の目的達成に近づけてゆく予定である。アラブでもヘブライでもないテュルク世界においては、イスラームの価値観が覆い被さりつつも、非-人間中心主義シャマニズム的自然観が今も色濃く残り、家畜との相互交渉をつぶさに観察すれば、圧倒的支配者としての人間とは異なる自然観が浮かび上がると想定している。 これらの点を、これまで培ってきた調査地における人間関係を基礎に重点的に調査し、データを十分に収集したのち、徐々に研究会や学会等で発表を行ない、議論を経て精緻化を図り、学術誌等への論文投稿・発表を行なってゆく予定である。
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