研究課題/領域番号 |
22K01079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
吉本 裕子 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員研究員 (20731053)
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研究分担者 |
吉田 ゆか子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (00700931)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アイヌ / 舞踊 / 観光 / 現代性 / 展示 / 民族イメージ / 身体性 / 先住民観光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、博物館や観光地で実演されている「見せるためのアイヌ舞踊」に着目する。今日の舞踊実践には、アイヌのみならず、非アイヌも様々なかたちで協働・連携しており、「伝統」を継承しながらも、今日的な環境、芸能観に合わせて舞踊は変化し続けている。こうした舞踊の現場を、多様なアクターの身体が関わりあう現代舞踊展示として再考し、アイヌ観光と舞踊の歴史的変遷を視野に入れながら、その実態を明らかにする。その上で、これまで主流社会側が本質化してきた「文化」観や「民族」観を刷新してゆくための新たな視座を提示し、アイヌ民族の現況理解につなげる筋道を模索する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に実施できなかったインタビューを含む現地調査を行い、研究に進捗がみられた。 2023年4月~5月にかけて、白老、阿寒で和人を含むアイヌ舞踊の担い手から聞き取り調査を行い、観光地での舞踊実践やその歴史的変遷等について多くの情報を得た。加えて、和人配偶者の立場からも、アイヌ観光と観光者のまなざしについて話を聞くことができた。 2023年7月から、インドネシアの芸能研究を専門にしている吉田が研究分担者に加わり、白老、阿寒を中心に共同調査を行うとともに、バリ舞踊の実演との比較から頻繁に意見交換を行っている。2023年8月~10月にかけては、道内各地で行われる祭祀儀礼や舞踊関連イベントに複数回参加し、参与観察を行いつつ、映像・写真撮影も行った。こうした参与観察の現場から新たな交流の場が広がり、これまで接触できなかった多様な踊り手や歌い手から「見せるための舞踊」実演について、インタビューを行うことができ、踊りと展示・観光との関わりを考察するうえで、有益なデータが得られた。 これまでの研究成果を、横浜市立大学教室セミナー(一般公開型・2023年11月)や神奈川大学人文学研究所主催「アイヌ語」開講記念講演会(一般公開型・2024年2月)にて、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
信頼関係の構築が十分でない地域の人々への聞き取りや撮影を伴う調査は慎重を期しており、一部の調査に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集した聞き取りデータの整理が遅れており、書き起こし作業を可及的速やかに行い、考察を深めてゆく。2025年1月には、民族音楽学や舞踊学の代表的な国際学会であるThe International Council for Traditions of Music and Danceにおいて、Challengers of Dance Theater “Lost Kamuy”: Tourism and Dance Tradition in Akan Ainu Community と題したテーマで、吉本、吉田が口頭発表を予定している。加えて、吉本が2024年9月に青森で開催予定の日本オーラル・ヒストリー学会大会での個人発表を準備中である。その他、国内外の学会や一般向けの講演会などを通して研究成果を発表しながら、論文執筆を進めてゆく。
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