研究課題/領域番号 |
22K01084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
廣田 律子 神奈川大学, 経営学部, 教授 (70260990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ヤオ / 神話 / 歌謡 / 儀礼 / 祭祀儀礼 / 飄遥過海 / 飄遙過海神話 / 歌 / 少数民族 |
研究開始時の研究の概要 |
中国南部および東南アジア大陸部に広く分布するミエン・ヤオは共通して「飄遙過海」と称される祖先の移動の歴史と祭祀の起源を説く神話を伝承している。 本研究では、「飄遙過海」神話が、ミエン・ヤオの儀礼の実践において経文と読経、神像画、供物、舞踊等多様な媒体によりどのように表現され、異なる地域の異なる親族集団にどのように伝承され続けているか実態の解明を行う。そうすることでミエン・ヤオのアイデンティティーを象徴する神話がいつどのように形成され、各親族集団間でどのように変遷し伝承されてきたかという問題を解決するだけでなく、神話が複数の媒体で表現され反復発信される儀礼システムの立体的な解明を目指す。
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研究実績の概要 |
多媒体で表現されるミエンヤオの飄遙過海神話と儀礼について立体的に分析するために一つ一つの媒体について研究活動を進めた。漢字経典『大歌書』の解明に関しては、9月に趙金付祭司へ聞き取り調査を実施し、それに基づき『大歌書』の内容解読を進め、『瑶族文化研究所通訊』第10号で成果を報告した。女性歌女の使用漢字経典についても複数の版本を比較しながら内容の解読を進めた。神画については、今後の研究材料として170点余りの中国の神画を収集した。さらに神画のスキャンデータをヤオ族文化研究所のウェブサイトで公開した。舞踊の表現についてはデータを研究協力者と共有し、立体モデルの作成を試みた。 国内外のヤオ研究者との研究会をオンラインおよび対面で実施した。ヤオ族文化研究所主催のヤオ族文化研究会を2023年度は4回開催し、特に中国・香港の若手研究者の発表の機会となり、次世代の研究者養成に成果をあげた。国外のヤオ研究の拠点の香港大学において「International Workshop on Yao Healing Rituals」のテーマで学術交流を行った。ヤオの文化を現地社会で認知してもらうために中国のヤオ研究拠点である広西民族大学(中国南寧)において講演を実施した。台湾のヤオ研究の拠点の輔仁大学において学術交流を行い、今後の神像画展開催について話し合った。 1980年代~2000年代に撮影した資料をデータ化し、公開する作業を進めた。 2024年10月に神奈川大学みなとみらいキャンパス開催の国際シンポジウム『助成金を獲得して実施した(2006年~現在)ヤオ族関連研究成果最終報告会「ヤオの多面性と統一性」』および神奈川大学ミュージアムコモンズ開催の神像画展の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長らく対面での祭司への聞き取り調査ができなかったが、再開することができ、『大歌書』の解読を進めることにつながった。 国内外の研究者と共に対面およびオンラインでの研究会を頻繁に開催し、こちらからもヤオ研究の拠点の中国・台湾・香港で開かれる研究会等に参加することで、国内外の多方面の研究分野の研究者と交流を進めることができた。それにより研究材料の相互の提供が実現し、種々な問題について見解を出し合う環境が整い、研究を前進させることにつながっただけでなく、ヤオ文化の保存・活用・継承に役立つヤオ文化の認知活動への展開の可能性も模索できた。
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今後の研究の推進方策 |
国際シンポジウム『助成金を獲得して実施した(2006年~現在)ヤオ族関連研究成果最終報告会「ヤオの多面性と統一性」』を10月に開催し、中国・香港・台湾・タイ・ベトナムのヤオの研究拠点機構から研究者を招へいし、日本の研究者も加わり最新の研究成果発表と議論を深めることで、さらに研究を進める。 祭司も招へいすることで聞き取り調査も実施し、さらなる『大歌書』等の経典や儀礼内容の解読に繋げる。 ヤオ文化の認知活動の一環として、神奈川大学ミュージアムコモンズにおいて神像画および収集資料の展示を行う。
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