研究課題/領域番号 |
22K01092
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚原 伸治 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30735569)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 地方都市 / 商店街 / 地域活性化 / 民俗学 / 民俗誌 / 千葉県 / 福岡県 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現在の商店街について、従来の研究が前提とする「地域活性化モデル」の限界を乗り越えて、民俗学的視点から「もうひとつの活性化論」を提示する。そのために2つの商店街(千葉県香取市、福岡県柳川市)の現地調査を実施し、以下を検討する。第一に、一度シャッター通りとなった商店街の現状を、それぞれの地域における取り組みの産物として理解しなおす可能性を検討する。第二に、商店街の衰退および再生について、過去100年の歴史的経緯との関連から再検討する。それぞれの生活と歴史に根ざした固有の文脈を重視する民俗学の視点を導入することで、21世紀における商店街の衰退と再生を理解するための新たなモデルを構想する。
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研究実績の概要 |
本研究は、2つの地方都市商店街(千葉県香取市佐原、福岡県柳川市)における現地調査を通して、21世紀初頭における商店街の現状を地域性・歴史性をふまえながら理解することで、「地域活性化モデル」に代わる商店街研究の新たな理論的前提を構築するものである。この方針のもと、2022年度は、2つの地方都市商店街の研究を基本としながら、20世紀の商店街の歴史的変遷をマクロ・ミクロ双方の視点から理解することを目指した。 具体的には、これまで実施してきた「柳河新報」をはじめとする新聞資料の調査をさらに進めることで、社会経済史的な側面に限定せずに日常生活という視点から商店街の人々の暮らしについて明らかにした。また、過去に実施した調査のフィールドノートなどを手がかりに、1950年代以降の家業継承のあり方の変化について検討した。その結果、非血縁者による相続の位置づけが変化したことと、商店街の衰退が関係していることが仮説として浮上することとなった。 加えて、研究対象地域に限らず20世紀の地方都市商店街の状況を理解するために、今回の中心的な研究フィールド(関東地方・九州地方)とは条件の異なる近畿地方(滋賀県)や東北地方(青森県)の地方都市についての巡見調査も進めることで、よりマクロな視点から20世紀日本の地方都市について理解した。 このような調査の実施によって、一様に「地方都市商店街」としてまとめられがちな区画やその衰退も、さまざまな条件下で多様な姿を見せることがわかった。このことは、地域性・歴史性を踏まえながら現在を理解しようとする本研究課題の意義を再確認する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染症の影響が長引くなか、高齢者に対する長時間の聞き取り調査や参与観察を実施することが難しく、人との接触を短時間にとどめることができる巡見や史料調査を中心とせざるをえなかった。 一方、巡見を中心とするフィールドワークに切り替えて実施した結果、これまで調査を行なってこなかった地域を含む多地域の商店街の状況を把握することができたため、今後実施する現地調査の位置づけを再定義することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は新型コロナウィルス感染症の5類感染症への移行などもあり、現地調査をしやすい状況が予想される。千葉県香取市佐原、福岡県柳川市での聞き取り調査を中心とした現状把握および1950年代以降の家業継承の変遷について、積極的に実施していく予定である。 加えて、2022年度の調査で明らかになった地方都市商店街の多様性については、本研究課題の直接的な実施計画には組み込んでいなかったものの、地域性・歴史性を重視しながら現状把握をすることを目指す今回の研究課題において必須ともいえる要検討事項として浮上した。現地調査のための基礎的な作業として今後も継続的に調査を進める必要がある。
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