研究課題/領域番号 |
22K01101
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
猪瀬 浩平 明治学院大学, 教養教育センター, 教授 (70465368)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 雁皮 / 雁皮紙 / マルチスピーシーズ民族誌 / グローバル・サプライ・チェーン / 森林 / 和紙植物 / 和紙 / 周辺資本主義 / 里山 / 文化人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国内外各地で行うフィールドワーク(参与観察、インタビュー調査、資料収集等)をもとに、和紙植物「雁皮」の生態や植生、人間による採取や栽培、「雁皮紙」への加工と流通を、その歴史的変化にも留意しながら、民族誌(エスノグラフィ)として多面的に記述する。それを通じて、人間と植物、地域史と世界史との多様な関係を明らかにし、人間が様々な存在と調和的に生き続けていくための思想を探る。
|
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、国内で雁皮・雁皮紙にかかわる実践の参与観察や聞き取り調査、資料収集を行った。雁皮紙を使った特装本についての調査、雁皮が謄写版原紙の原料に使われている点に注目した調査、雁皮紙を利用した美術作品についての調査など、新たな視点による調査を進めるこができた。 2023年11月には、滋賀県、京都府での調査を実施した。雁皮紙を生産する紙工房での調査を行い、原料の収集や生産の状況などについて聞き取りを行った。また、ガリ版伝承館において、謄写版印刷の歴史や現状とともに、孔版等の歴史資料の保存・整理状況について聞き取りを行った。また、滋賀県立琵琶湖博物館、滋賀県立図書館で滋賀県の森林の生態と、雁皮紙生産の状況などについての資料収集を行った。 2024年2月には、千葉県と山口県での調査を実施した。千葉県では、成田山書道美術館で、2022年度に調査した高知県四万十町で栽培された雁皮をつかった紙をめぐる展示について、展示を担当した学芸員から聞き取りを行うとともに、書道文化と紙の関係について検討した。山口県では雁皮採集を経験した人と、かつての採集地を歩き、当時の採集・出荷の状況を伺いながら、採集する過程を参与観察した。また実際に歩くと、雁皮はほとんど自生しておらず、その変化がなにによってもたらされたのかについての認識を伺うことができた。山口県立図書館では、山口県内の雁皮の生育状況や雁皮紙生産の歴史などについての資料収集を行った。 2023年6月には日本文化人類学会の研究大会(会場:県立広島大学)での発表を計画していたが、台風による大幅なダイヤ乱れにより、大会初日に予定されていた発表ができなかった。学会には二日目から参加し、本研究に関連する問題意識を持つ研究者とそれぞれの研究知見の共有と意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台風の影響で、日本文化人類学会での発表が実施できなかった。大会には参加し、四国山地や、パルプ産業などについて研究する人類学者とそれぞれの研究知見にもとづく意見交換を行い、研究ネットワークの構築をはかった。滋賀、千葉、山口などの調査も順調に進行した。また、日本近代文学館の協力を受け、当初想定しない雁皮紙による特装本についての調査を実施することもできた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでの調査の成果や、研究基盤の整備を踏まえて、引き続き国内での雁皮採集・栽培をめぐる参与観察と、資料収集を行う。これまで調査していない、岐阜県、和歌山県などでの調査を計画している。日本文化人類学会の研究大会等に参加し、マルチスピーシーズ民族誌や植物の人類学など、文化人類学の先行研究との関係から、本研究の意義を整理するとともに、フィリピン等海外調査にむけた研究ネットワークの構築を図る。
|