研究課題/領域番号 |
22K01104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 北星学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
風戸 真理 北星学園大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (90452292)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 遊牧 / 移動 / 国境 / モンゴル / ロシア / コロナ / 戦争 / 牧畜 / 森林草原火災 / 災害 / ゲル / 天幕 / ユーラシア / ノマド / ICT |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、北東・中央アジアなどユーラシア地域における「遊牧文化」の現代的な展開を、SNSや産業ロボットの利用といった情報化、ICT化に注目して、ノマド論に照らしながら記述することにある。現代のノマドたちにとっての移動と情報利用の関係を、これらに関わる物質文化に注目して明らかにしていくのである。対象とする移動の事例は、家畜のための季節移動および、それ以外の理由による国内移動、国外移動、である。移動実践を支える物質文化としては、移動式住居「ゲル」と携帯電話やスマートフォンを取り上げ、これらがどのように使われてきたのかを、時期・地域ごとに比較する。
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研究実績の概要 |
本研究計画は、交付申請書の「9.補助事業期間中の研究実施計画」に記載のとおり、遊牧文化の現代的展開について情報化に注目しながら説明するために、国内外でのフィールドワークにより資料を収集し、論文発表や学会発表をおこなうものである。 2023年度にモンゴル国において実施したフィールドワークによる調査内容は、モンゴル系の人々が国境を越えておこなう移動の選択と、それに関わる情報収集の方法についてである。具体的には、ロシアから徴兵を拒否してモンゴル国に逃れてきた人びとから聞き取りをおこなった。また、ウランバートル市の簡易宿所の過去6年間の帳簿を入手するとともにコロナ期の経営について聞き取りをおこなった。 成果発表としては、国際学会(東アジア人類学会)にて口頭発表「Hospitality of Guesthouses in Mongolia」をおこない、議論を精緻化して論文「複合的な歓待:ゲストハウスの経験したパンデミックと戦争」として投稿した。本論では、モンゴルのホスピタリティー産業の一部をなすゲストハウスが、パンデミックや戦争という社会変化の中で、複合的な歓待を実践してきた様子を示してきた。すなわち、コロナ前には外国人観光客に宿泊とツアーを提供してきたが、2020年にはコロナに対する防疫規制のため宿泊者が激減したため、転業して部屋をモンゴル人に貸した。2022年には、隣国ロシアで戦争が始まり、ロシア人が逃げて来て滞在した。ゲストハウスの事業においては原則として商業的領域での歓待がおこなわれるが、本事例ではオーナー家族の私的領域との混ざり合いや地域社会との相互浸透が見られた。 加えて、事典の項目として「天幕」と「衣服と装飾」を『中央ユーラシア事典』に執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記載のとおり、モンゴル国でのフィールドワークをおこない、これまで不明であったコロナ期の状態を調査し、その結果を国際学会で発表した後、論文にまとめて学内紀要として投稿することができた。 文献研究としては、モダニティ、ノマド、民族誌記述などに関する社会理論をテーマとしたオンライン研究会にて、研究遂行に必要な資料を集中的に検討した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題については概ね、当初予定していた2024年の計画を進めていく予定である。 まず遊牧民のSNS利用については、現実の経済社会生活との関係、および最新のSNS利用について、直接観察と聞き取り調査をおこなう。 次にゲルの利用については、2020-2022年のコロナおよび2022-2023年の全国的な雪害の後でのゲル利用の実態を調査する。移動性、定住地と草原での比較、ゲルのメンテナンスに必要な新素材に注目する。 その他の遊牧的な文化要素についても、代表者がこれまでに調査してきた物質文化を中心に、コロナ後の変化を観察し、得られたデータは随時学会等で報告していく。
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